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“組合型”株式会社を設立しました

まだまだ残暑厳しいですね。みなさん、お元気でしょうか。Next Commons Lab(NCL)ファウンダーの林篤志です。2015年の発足以来、一般社団法人として活動してきましたが、2020年4月に、全国のプレイヤーと"組合型"の株式会社 Next Commons Labを設立しました。少しずつ動きが出てきましたので、このタイミングで設立のお知らせをさせていただきます。

"組合型"の株式会社とは?

そもそも、会社法には「組合型株式会社」という法人形態はありません。株式会社 Next Commons Labは、全国各地でまちづくりや社会的事業を担うプレイヤー44組の出資参画によって立ち上がっています(2020年9月現在)。では、組合型とは何なのか? 44組の出資額はそれぞれ異なりますが、取締役を含む株主全員が議決権を一票ずつ持っていて、出資者には普通株式 + 種類株式(議決権なし)で株式が発行される形式をとっています。株式会社という形態を採用しつつも、協同組合に近い性質で運用されるので、勝手ながら「組合型株式会社」と名付けました。

資金調達→イグジット以外の選択肢をつくりたい

5年前、「ポスト資本主義社会の具現化」を掲げて立ち上がったNext Commons Lab(これを機に、ウェブサイトもリニューアル中です)。地域で活動するローカル/ソーシャルビジネスの担い手を育成する「ローカルベンチャー事業」にはじまり、様々なセクターをつなぎ合わせながら、ポスト資本主義社会の具現化に向けた社会実験を繰り返してきました。

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現在では、国内外合わせて12拠点、NCLを介して各地で活躍する起業家が約100名となり、大手企業との協業による新しい未来社会像をプロトタイピングしていくような事業も増えてきています。おかげさまで、ノウハウも溜まっていき、ご相談いただく案件も増え、案件の規模感も大きくなっています。

一方で、自社のリソースだけでは不十分な要素があったり、今後、今のチームだけでは受けきれなくなる状況が見えてきたりしています。そういったこともあり、深刻化する社会課題や、もの凄いスピードで状況が変わる時代に対応すべく、仲間や資金を募っていきたいと考えたのが、組合型株式会社設立に至った経緯です。一般的なスタートアップが投資家やVCから資金調達を行い、バリュエーションを上げていき、最終的にはイグジットを目指すような方法も考えたこともありましたが、無限の成長を求められる株式市場モデルは、「向いてない」と感じたのです。

新型コロナ、気候変動など、今私たちの生きる世界は根底から揺らいでいます。同時に、各所で分断が起きています。互いに正義を振りかざした結果の対立、知らないがゆえに繋がれず失う機会、固定された役割を全うしたがゆえの生じる歪み、消耗など。放っておけば、各所で亀裂が生まれ、その溝が大きくなるばかりの現代社会には「対話」が必要です。会社を資本主義のツールとしてでなく、「一つの社会」として捉えたときに、株主、取締役、従業員、外注先という概念を超えた、対話をベースとした自立分散型の経営が、持続的な形として、あり得るのではないかと考えています。

この考え方に行き着くには、「自然(じねん)経営」を行うダイヤモンドメディア株式会社の創業者、武井浩三さんとの出会いと対話がありました。株式会社Next Commons Labには、株主兼監査役として参画いただいています。

アメリカでも「コミュニティ型の株式会社」という概念が生まれつつあるようです。

参画メンバー

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第1期の出資参画にあたっては、これまでのNCLの活動の中で出会ってきた志を共にできるプレイヤーの皆さんにお声がけしました。そうして集まった44組は活動地域も領域も実に様々。NCLの拠点と合わせて40近いエリアネットワークにもなりました。活動領域は、教育・林業・エンジニアリング・仏教・コンサルティング・遊休不動産の利活用・漁業・地域通貨・広告など、ここに記しきれないほど多様なメンバーで構成されています。それぞれの得意領域を掛け合わせ、「ポスト資本主義社会を具現化する」という共通のビジョンを持った新しいアクションが生まれていくことに期待し、「対話」に重きを置いた場の運営をはじめています。

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社会実験と社会実装

まだ見ぬ社会をつくっていくアプローチとして、一般社団法人Next Commons Labが「社会実験(0→1)」を行い、それによって生まれた成果をより汎用的に社会に浸透させるべく、株式会社Next Commons Labが「社会実装(1→10)」の役割を担うことを目指しています。

運営方法も、事業内容も、まだまだ開発途上の組合型株式会社ですが、今後も出資参画者を増やしつつ、社会変革の装置となる事業を生み出していきますので、乞う、ご期待ください。

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Next Commons Lab ファウンダー  林 篤志(はやし あつし)
ポスト資本主義社会を具現化するための社会OS「Next Commons Lab」をつくる。2016年、一般社団法人Next Commons Labを設立。自治体・企業・起業家など多様なセクターと協業しながら、新たな社会システムの構築を目指す。日本財団 特別ソーシャルイノベーターに選出(2016)。Forbes Japan ローカル・イノベーター・アワード 地方を変えるキーマン55人に選出(2017)。


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