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動画生成AIでショートドラマを作ってみたけれど、これはもう、妥協との戦いである。

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掲載先:https://wepress.web-magazine.jp/ wepress(ウェプレス)

動画生成AIを中心に、AIだけでストーリーものが作れるのか、に挑戦してみました。

いきなりですが、完成動画はこちらです。

タイトルで全てを言い切ってしまってますが、この動画の制作過程で「どんな妥協があったのか」をご紹介したいと思います。


動画生成AIの使い方

動画生成AIは、Runway Gen-3を利用しました。

https://runwayml.com/

生成方法は、一度使えばすぐ覚えられほどシンプル。

ログイン後、「Text/Image to Video」をクリック。

AIへの指示文=プロンプトを日本語で記入し、「Generate」をクリック。

動画の生成が始まります。

今回、「見たこともない未知の虫=黄金のカブトムシ」をテーマにしようと考えました。

AIが生成する素材で妥協

Runway Gen-3の「標準プラン:15ドル 625クレジット/月」を契約しています。

「625クレジット」と言われてもピンとこないでしょう。
しかし、この動画を作った今、僕なら堂々と言えます。

「ぜんっぜん足らん!」と。

具体例を挙げます。
Runway Gen-3では、5秒間の動画を生成するのに、50クレジットを使います。

次のようなカットを生成してみました。

プロンプト記入欄に「少年が田舎の祖父母の家を訪れる。玄関で、祖父母が暖かく迎え入れてくれる」を入れます。
すると、左手が3本ある少年が生成されました。

慌てて、プロンプトを変えます。
「少年が田舎の祖父母の家を訪れる」

今度は、なぜか少年が二人に増えている!

プロンプトを根本的に書き換えます。
「田舎町。一軒の農家へ続く道を、一人の少年がトボトボ歩いている。少年の後ろ姿」

このやりとりで、150クレジットも使ってしまった。

実は、本稿を書き始めたのは先月のこと。

サンプル動画を作る過程で、試しているうちにあっという間にクレジットを使い切り、翌月にクレジットが復活するのを待つ羽目になったのです。

物語を作るには、一つ一つのカット(素材)に対し、いろんな要望があります。
構図(カメラアングル)や人の配置、カメラワークなどなど。

プロンプトを記入して生成して、またプロンプトを直して生成して・・を繰り返していきます。
が、これも、クレジットの壁があり、いつまでもやってるわけにもいかない。

例えば、主人公の少年は日本人にしたかったんですが、ヨシとしました。
昆虫も本当は、「黄金のカブトムシ」とプロンプトに書いたものの、カナブンっぽく表現されました。

もっとカットの数を増やし、思い通りの動きや構図にしようと考えると、ちょっとゾッとします。
つまり、気に入らない素材でもどんどん妥協していかないと、なかなか先に進めない。

ストーリーで妥協

少年と黄金の虫(カナブン)。

これを元に、ストーリーを考えることにしました。

ChatGPTに、「黄金のカブトムシをテーマに、5カットで完結する短いショートドラマを考えてください。」と指示を出してみました。

それっぽいストーリーが生成され、ChatGPTは、
『このストーリーは、タケルが自然の美しさと生命の尊さを学び、感謝の心を持って大切なものを手放す勇気を持つ成長物語です。タケルと黄金のカブトムシとの絆は、見る者の心を温かく包み込みます。』
などと自信満々。

しかし、話があまりに複雑で長かったので、おもいっきりはしょることにしました。
(長いストーリーを動画にするには、クレジットが足らない!)

ナレーション音声の妥協

セリフがないドラマなので、ナレーションを入れました。
使用したのはこちら。

音読さん
https://ondoku3.com/ja/

完成動画の音声は、デフォルトのもの。
一通りの声を試しましたが、どれも気に入らず。

本当は、もっと柔らかく包み込むような声で、ゆったりと語ってほしかった。

音楽で妥協

音楽は、こちらの記事を参考に用意しました。

『AI作曲サービス「LoudMe」を使って曲を作ってみた』
 https://loudme.ai/

「Description」に曲の内容を記入し、「Lyrics」でInstrumental(演奏だけ)を選択し、最後に「Create」をクリック。

2曲生成されますが、「Instrumental」を選択したのに、歌声が入っているのは、無料版ダウンロードだからでしょうか。
また、都合いいところで音楽を盛り上げたい、といった使い方はまだ厳しそうです。

まとめ

画像生成AIはそこそこやり込んでる僕ですが、動画生成にはかなり難しさを感じます。

プロンプトを使う動画生成は、
<テキスト →イメージ化 →動きをつける>
という2段階がある。

画像生成AIが二人羽織なら、動画生成AIは二人羽織の背後の人に無線で指示を出してる感じ。

よく、新しいAIの技術について、「こんなにすごい!」と素材が公開されてるのを見ます。
そこに嘘はないのでしょうが、そのサンプルに行き着くまでに、裏側で結構な努力があるのではないか、と勘ぐります。

動画生成AI。
もう少し腰を据えてお付き合いをしてみたいと思います。

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オリカワシュウイチ
映像クリエイター/絵コンテコーチ

初心者の映画制作をサポートする活動を全国で続ける。埼玉在住。
仲間ゼロ・カメラ1台から映画作りをスタートし『映画工房カルフのように( http://karufu.net/ )』を立ち上げ、セミナーやワークショップを通して、これまで1000人以上に映画作りをアドバイスする。スタローンに生で会ったことのある広島県人。著書に『事例で学ぶ1分間PR動画ラクラク作成ハンドブック』『iPhoneで作ろう ビジネス動画の教科書』『iPhoneでお金をかけずにビジネス動画を作れるようになる本』(全てペンコム)がある。
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