見出し画像

【遊戯王】会社に依存しない天界蹂躙拳【真章】

――夢なら、早く覚めて欲しい。

????「___レイズのこ_で、ラ__ルをとく__かん」

僕はいったい、いくつ『コレ』を壊したのか......。

????「ぞう___で__エル_ちにおく__ドロー」

……そうか。もう何ターン前だろう。今や????は、コレを破壊すらさせてくれないのだった。
終わりの無い戦いを始めて、もうどれだけの時が経つのか。とっくに喉はからからだし、指先は震えている。目を開けているのもやっとだ。

????「__のへき__により、この___うけない」

こちらのリソースは枯れ、かろうじて場に残った、数値だけのモンスターを頼りに、僕はギリギリの戦いを続けていた。
いや、もうとっくに戦いですらない。こちらの勝ちは存在、しない。今や????の勝利条件が揃うのをただ待つだけの躯だ。

すでに思考する力は無く、希望は全て断たれたというのに。失われかけた決闘者としての誇りだけが、降参の2文字から自身を遠ざけていた。

????「ぼち___りんけん__つどう。てふ____わえる。」

そんなただの強がりには何の意味もない。頭では分かっているのに。
サレンダー。それだけは本能が拒み続けた。

????「バトルフェイズ。」

バトルフェイズ…?
懐かしい響きだ。もう何年も聞いていないように思える。
それは運命の女神が待ちわびたかの様に、止まっていた時を再び刻み始める合図。

????「手札の天界蹂躙拳の効果を発動。」

……そうか。
どうやら、ようやくこの悪夢から解放されるらしい。思わず安堵を覚えた自分に嫌気がさす。
勝つために、希望の為に進めていたはずのドローという名の歩み。それがいつしか、ただ偏に命を繋ぐためだけの延命処置に在り方を変えていたようだ。

自らの命を対価とした、永遠とも呼べる苦しみからの解放。決して望まない終幕を、まるで最後の希望であるかのように、僕は力なく受け入れる。

嗚呼、出来る事ならば、次????と相対する決闘者には――。

????「攻撃力16000で、フィールド上の全てのモンスターに、攻撃!」

正しいルールの知識が、ありますように――。







※命に別状はありません。
※健康にも影響はありません。
※この話はまあまあノンフィクションです。実在する団体名・人名とはそこそこ関係ありません。
※ルールとマナーと用法・用量を守って楽しくデュエル!



こんな調子で小説チックに書いてしまったら時間がいくらあっても足らない。
故に、僕は普通のデュエリストに戻ろう。

にゃっき」。それこそが、さっき名が伏せられていた悪鬼、その真名。say ho.
驚くほど速い真名解放。俺でなきゃ見逃しちゃうね。そして、インドアフィッシュに食われてるのかってぐらいいたぶられたのが、僕だ。
ちなみに、地球上に二人しか存在しないというバイサーショック使い、その一人。歪んだ性癖をお持ちですね。

本題。具体的に何をされていたのかを解説しよう。

1:永続罠カード『ハイパーブレイズ』の効果によって、墓地に存在する『幻魔皇ラビエル』を召喚条件を無視して特殊召喚

ブレイズ


2:永続罠カード『闇の増産工場』の効果によって、特殊召喚したラビエルを墓地に送り1枚ドロー

ぞうさん


3:永続魔法カード『失楽の霹靂』の「幻魔がフィールドを離れたターン、受けるダメージを0にする」効果が適用される

失落

これを毎ターン繰り返されていた。深夜2時過ぎまで。2時だぞ2時。

とても人間のやる事とは思えない。nyakki is akki. "akki" means evil. so, nyakki is evil.
分かっている。永続カードを3枚も使用したコンボなんて、除去して終わりじゃないかと、そう言いたいのだろう。僕も言いたい。羽根帚に魂を売れ。
きょうび安易なロックコンボで音を上げるなんて、デッキとして破綻している、それは事実だ。
ただ、あろうことか僕は、この結果に至るまでに魔法罠を破壊するためのリソースを消費しつくしてしまったのだ。結果論だが、まさしくプレイングミスと呼ぶに相応しい。
デッキは悪くない。悪いのは僕の采配だ。そんな、名監督風な擁護をしつつ論点をずらしていきたい。そんな人生だった。
一つ、言い訳をさせてもらえば、リソースを費やした先の主なカードが『失楽園』である事。幻魔を相手取るにおいて、これよりも破壊を優先するカードはそう多くない。

しつらくえん


この失楽園1枚で、前回若干貧弱とも称した幻魔モンスターは、文字通り化物へと豹変する。さらに、デッキに眠るこのカードへのアクセスも容易とくれば、これを警戒しない手は無い。俺は悪くねえ。
「俺は悪くねえ」と言わんばかり、いや、もう言ってしまった。手のひらトラップ。何度もひっくり返すのでくず鉄の右手とでも名付けておこう。不名誉極まりないネーミングに、我ながらややおこ。せめてサブテラーの右手にすればよかった。

良い。僕の落ち度はこの際置いておこう。落ちているものを親切にも拾った挙句、交番で何時間も拘束されるなんて経験が皆にもあるだろう。百円玉程度であれば、ジュースでも買って経済を回した方がよっぽど世の為だ。
…一応、良い子はマネしてはいけない。黙認されるレベルの軽犯罪であることは間違いないから。
セキュリティにゴヨウされたとあってはデュエル出来ない体になるし、そもそもデュエルで勝てば見逃してくれるほど日本警察は甘くない。多分。特に神奈川は気をつけろ。

問題は、だ。問題はこの無限ラビエルがどこから湧いているのかに尽きる。無限ラビエルとかいう、いささか以上の寒気を呼ぶパワーワードは、最近の暑さにはちょうど良い。
炎天下の無限ラビエル」。とても涼しくなりそうにはない。おのれにゃっき。

このラビエル、もちろん『おろかな埋葬』で墓地に送られてそのまま蘇生、のようなおろかな工程は踏まれていない。僕の目が黒いうちはそんな真似させない(白目)。
おろかな埋葬で直接墓地に送られたモンスターが蘇生制限の問題で特殊召喚出来ない事は、2つ前の記事で記してある。だが、それよりもwikiに行った方が有用ではある。
なので、2つ前の記事に「スキ」を押してからwikiに行くべきだ。ここまで読んだのなら皿ごと食らったほうがあと腐れがない。ただ胃もたれはする。腐敗or胃もたれ。地獄の顕現、ここに成就せり。

では、国産ラビエルなのかというと、そうでもない。

国産ラビエル?

土用の丑の日は国産ラビエル。

このラビエル、前回の記事で紹介した『混沌の召喚神』によって特殊召喚されているのだ。

そう、召喚条件を無視して特殊召喚した特殊召喚モンスターは蘇生制限をクリア出来ない。

それだけ。たったそれだけだった。その時は至らなかったシンプルな答え。

ヒントは、あった。何故、脱法召喚方法を用意したにもかかわらず、かろうじて正規召喚が可能なだけの悪魔族、永続魔法、永続罠が構築済みデッキに散りばめられていたのか。そこにコナミの意志は確かにあった。

ただ、汲み取るだけの器量が、僕には無かった。なんだ、僕の落ち度か。拾うな。捨ておけ。元の場所に戻してきなさい。

結局、僕はこのにゃっきを野放しにしてしまった。ここで刺し違えておけば、次の被害者は生まれなかったというのに......。

ホントウニモウシワケナイ。



次回、「にゃっき、無法のバトルロイヤル

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?