【ニュートラの学校レポート&アーカイブのご案内】12/20「B5循環・再生と伝統」

「ニュートラの学校」は、4年目となったNEW TRADITIONALのとりくみが次の段階に向かうべくはじめたプログラムです。"福祉"と"伝統のものづくり"を結びつける。ここに関われる可能性のある人の数をもっと広げ、そんな人どうしが学び合える場をつくりたいと願っています。

今年度は2コースを設け、様々な観点から"福祉"と"伝統のものづくり"について考えました。

プログラムA「福祉の課題から考える」コース(A1〜A5)
何を変えることで、福祉のものづくりはもっとよくなるのでしょうか。プログラムAでは福祉現場の課題にしっかりと向き合い、新しい可能性をひらいてきた実践者とものづくりの価値を高める方法を学びます。

プログラムB「これからの伝統を考える」コース(B1〜B5)
生活に必要とされる伝統工芸やものづくりは何か。作り手や使い手、環境、素材、持続性など、さまざまな視点からこれからの伝統やものづくりのあり方や暮らしについて考えます。

アーカイブ映像の販売もありますので、下記URLよりご確認ください!
https://tanpoponoye.stores.jp/
※5月末までの視聴となりますので、ご注意ください。

こちらのnoteでは各回のレポートを、たんぽぽの家プロジェクトスタッフの木村よりお伝えさせていただきます!

「循環・再生と伝統」

B5 循環・再生と伝統
京都北山の文化遺産を保全し、資源循環を目指す北山舎、アーティストのアトリエからでる不要品や廃材を副産物とよび、そこから新たな価値を与える副産物産店。それぞれの活動をすすめる本間さん、矢津さんとともに、ものや地域の循環と未来のものづくりを考えます。

12月20日(火)のニュートラの学校は、12月15日(木)〜25日(日)に開催された「ニュートラ展in京都」の会場である京都伝統産業ミュージアムにて開催されました。本間 智希さん(建築史家、北山舎代表)・矢津 吉隆さん(美術家・kumagusuku代表、副産物産店共同代表)から、循環と未来のものづくりについてお話いただきました。

文化的景観と中川

現在はフリーランスで、リサーチャーや研究者として活動されている本間さん。大学院生時代に建築史を勉強されていたことから、前職では奈良文化財研究所で研究職についていたそうです。そこで文化的景観調査に行った北山杉の里である中川で、現在は暮らしや生業に関するプロジェクトを行っています。

文化的景観とは、その土地と風土に根差した営みによって培われた風景のことで、文化財領域の一領域と言われています。

中川は、京都市の北区に位置し、北山林業が盛んな地域。京都市内が近いこともあり里との繋がりもありつつ、地域内で製造加工も行っていることが特徴だったそうです。
住宅増産により床柱の需要が増加したことから、戦後は床柱に特化したモノカルチャー産業になったとか。その流れもあり、現在は空き家も多い地域になっています。

しなやかな往来 心地よい循環

本間さんが調査に入る中で出会った物件が典型的な北山のくらしが表れていたことから、これを貴重な文化的資源と捉え、現在改修を進めているそうです。ケアの技法であるユマニチュード(ケアする側がやりすぎない、元々ある能力を活かせるようにする)というスタンスをもちながら、建物のポテンシャルを奪わないような改修進めているというお話もありました。工事に壁をはがしたら婦人誌の切り抜きが出てきたというエピソードも。そこからどんな使われ方だったかを想像されていたんですね。

活動を続けているなかで、他の物件ともご縁があったことから、次は「仲間を集めて活動する」ことに決め、立ち上がったのが「北山舎」。様々なバックグラウンドの人が出入りするなかで、現場自体を開くこと、やっかいな問題はみんなで考えようということを大切に活動される日々だそうです。
現場でも廃材を薪にしたり、市内の銭湯に寄付したりと、大小様々な循環を生んでいることが印象的でした。


資材の循環

続いて、お話いただいたのは矢津さん。個人でのアーティスト活動や副産物の販売を行っています。
本間さんと同じく北山舎のメンバーでもあり、現在は「北山ホールセンター」を新しい拠点にするために活動されているそうです。
そこでは資材循環をテーマに、「ごみ」を分類し、燃料やチップにするなど様々なものづくりの現場から生まれる副産物を循環させることを目指しているそうです。

また、梅小路公園コンポストステーションの取り組みもご紹介くださいました。「資源がくるりプロジェクト」では、開催されるイベントにテーマを合わせコンポストをつくることになったそうです。イベントのフードコートから出る廃棄物を堆肥にするために、定期的に一般の方々と共にかきまぜる。そんな温かな循環もうまれていることが分かりました。


副産物とは?

そして、矢津さんと言えばの取り組み「福産物産店」(https://www.instagram.com/fukusanbussanten/)についても、循環の観点からお話いただきました。
副産物とは、アーティストのアトリエからでる魅力的な廃材の愛称で、木版や油絵具、古い筆など、「ゴミ箱の近くの生態系」に着目しているものです。関わられている京都市立芸大のなかから生まれたもので、矢津さんはユニット組み「副産物産店」を営んでいます。


副産物は、加工されスツールやアクセサリーになったりしているそうです。またシンプルに詰め合わせるパッケージや、ガチャガチャ・自販機・クレーンゲームなど流通方法は様々。最近ではついに、大学で副産物産店の“芸術資源循環センター”展が開催されたそうです。実在しないセンターですが、このような打ち出し方ができるとは、、!副産物産店の取り組みの幅が広がっていることは、とても興味深いことだと感じました。


ニュートラの学校について

最後までお読みいただきありがとうございました。ニュートラの学校で得た気付きや問いは、すぐに活かせるものもあればじっくりと効いてくるものもあるかと思います。
今後もこちらのnoteにて各回レポートは発信していきますが、ぜひアーカイブもご覧いただきご自身の学びに繋げていただければと思います!

▼今回レポートした回のアーカイブはこちら
https://tanpoponoye.stores.jp/items/63a2bb0dd325cc3b536d729e

▼NEW TRADITIONAL webサイト
https://newtraditional.jp/

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