【ニュートラの学校レポート&アーカイブのご案内】12/17「B4福祉と玩具」

「ニュートラの学校」は、4年目となったNEW TRADITIONALのとりくみが次の段階に向かうべくはじめたプログラムです。"福祉"と"伝統のものづくり"を結びつける。ここに関われる可能性のある人の数をもっと広げ、そんな人どうしが学び合える場をつくりたいと願っています。

今年度は2コースを設け、様々な観点から"福祉"と"伝統のものづくり"について考えました。

プログラムA「福祉の課題から考える」コース(A1〜A5)
何を変えることで、福祉のものづくりはもっとよくなるのでしょうか。プログラムAでは福祉現場の課題にしっかりと向き合い、新しい可能性をひらいてきた実践者とものづくりの価値を高める方法を学びます。

プログラムB「これからの伝統を考える」コース(B1〜B5)
生活に必要とされる伝統工芸やものづくりは何か。作り手や使い手、環境、素材、持続性など、さまざまな視点からこれからの伝統やものづくりのあり方や暮らしについて考えます。

アーカイブ映像の販売もありますので、下記URLよりご確認ください!
https://tanpoponoye.stores.jp/
※5月末までの視聴となりますので、ご注意ください。

こちらのnoteでは各回のレポートを、たんぽぽの家プロジェクトスタッフの木村よりお伝えさせていただきます!

「福祉と玩具」

B4 福祉と玩具
私たちの生活に長く受け継がれ、愛でられてきたもの。軸原さんはそうしたものを発掘し、今に伝えるプロダクトをつくっています。郷土玩具や民藝の周辺にあるものたちと、福祉のものづくりの共通性やこれからのかかわりについて考えます。

12月17日(土)のニュートラの学校は、12月15日(木)〜25日(日)に開催された「ニュートラ展in京都」の会場である京都伝統産業ミュージアムにて開催されました。デザイナーでありCOCHAE/ドンタク玩具社も立ち上げられている軸原ヨウスケさんをお招きし、郷土玩具と福祉の可能性についてお話しいただきました。

こけしが大好き!

岡山から来てくださった軸原さん。独学で(!)デザイナーになられたそうで、折り紙などの紙のプロダクトや、風呂敷、そして岡山のお土産のデザインなどをされているそうです。
2007年頃からこけしが好きになり著書にまとめたことがきっかけで、「こけしネットワーク」ができ展覧会を開催することにもなったそうです。

その後ドンタク玩具社を立ち上げ、玩具の製作がはじまりました。デザインに特徴があるのはもちろん、伝統的なこけしとは異なり、日焼けをしない・触っても大丈夫な素材を組み合わせたものもありました。


また、「アウト・オブ・民藝」と称し、「民藝から外れたもの」や「民藝の外側にあるもの」に着目した著書の出版や展示も行われています。

玩具の歴史

そもそも郷土玩具とはどのようなものなのでしょうか。ウィリアムモリスは「民衆の芸術」として「労働に対する喜びを表現」したものであるという考えを定義されています。そして「民衆」が誰かを紐解くと、「社会的に立場が弱い人」とも考えられるのでは、と思うようになったそうです。

そこで出会ったのがgood job!センターで、きっかけは展示販売とトークという観点から繋がりができたそうです。岡山の福祉施設にもアプローチしたことがあったものの、「分業」されていることや「楽しそう」に作業していることに驚いたとも仰っていました。

トークのなかでは、歴史的な人物も取り上げながら、福祉の歴史についてお話いただきました。民衆の暮らしのために「農民美術」をつくった山本鼎、玩具に未来のために「創生玩具」をつくった有坂興太郎、農民の日常のために「農民芸術」をつくった宮沢賢治。
それぞれが違った思いをもちながら(根柢では共通しているようにも見える)思想を持っていたことは、大変興味深いと感じました。

福祉とこけし

玩具と福祉が相性の良い理由は、廃絶し続けている郷土玩具と手仕事の喜びがある福祉施設が繋がると、ミラクルが起きる可能性があるからだそうです。全国には福祉施設に限らず復活した郷土玩具の事例もあるそうで、地域で忘れられた郷土玩具のバトンを繋ぐためにも、福祉施設が考えられることがあるというお話もありました。
郷土玩具には厳格は法律などはありません。歴史的に見ても、分類や定義などは難しく、リスペクトの上でやっているというのが現状だそうです。認定などの制度の必要性も感じながら、その可能性を探っていらっしゃることが分かりました。

Good jpb!センター香芝でやっていただいたこけしのワークショップの事例のご紹介でも、試行錯誤しながらメンバーが自由に「プロダクトと作品の間」をつくった様子が分かりました。そこには、軸原さんのおじいさんが絵を描く際に仰った「スピードが上手い下手を隠してくれる」という御言葉もヒントになったとか。考えさせられますね。

会場からは質問も出て、普段はあまり触れられないような「郷土玩具」について考える時間になりました。現地にもこけしがおかれ、終始和やかな雰囲気となりました。

ニュートラの学校について

最後までお読みいただきありがとうございました。ニュートラの学校で得た気付きや問いは、すぐに活かせるものもあればじっくりと効いてくるものもあるかと思います。
今後もこちらのnoteにて各回レポートは発信していきますが、ぜひアーカイブもご覧いただきご自身の学びに繋げていただければと思います!

▼今回レポートした回のアーカイブはこちら
https://tanpoponoye.stores.jp/items/63a024d8c66d66100663cdaa

▼NEW TRADITIONAL webサイト
https://newtraditional.jp/

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