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FDM3Dプリンターのデザインルールに抵抗する #3Dプリンター

ルールは道しるべであって、それ以外のルートは必ずある。
道しるべに従うこともできるが、抗うこともできる。
抗うことで得られる物もある。

部品設計をしているとそれ用のデザインルールを目にしたことがあるんではないでしょうか?
FDM方式や光硬化タイプのプリンターではほぼ同じルールを目にするでしょう。例えばこんな

目を通しておいて損はない、いい情報です。
欲しい形状がこのデザインルールに沿うことができるのであればそれは素晴らしいことです。が、そうもいかない事はもちろんあります。
その際はサポート材を生成したり、高いプリンターを買ったりすることになるのかもしれません。

「もっと形状に自由を!」

デザインルールに素直に従えば、あなたは印刷の苦労を減らし、平和な3Dプリンターライフをおくれるでしょう。
出来ないことを出来ないと諦めながら。
しかし、私は諦めが悪い。私は自由を手にしたい。
自由を手にするにはやはり力が必要なようです。
今回の場合は技術力が。
というわけで、この記事ではそのあたりの技術についてまとめておこうと思います。

なぜデザインルールは存在し、どの様に打ち破るのか

デザインルールに従えば、印刷は簡単になります。逆に従わなければ印刷はこんなになります。まさに容易な道を示す道標です。
デザインルールは印刷方式自体に潜む弱点を書いたものと解釈することができます。
デザインルールから逆算される弱点とは大まかに
・溶けた樹脂を重力下で積み上げるという行為の不安定さ
・ノズル直径に基づく印刷精細度の限界
・硬化する際に収縮する樹脂による変形

というところでしょうか。

ただし、我々には抗う手段があります。
・強力な定着
・印刷物の適切な加熱と冷却
・適切なサポート材の設定
・線幅と吐出量コントロール

この手段を用いてデザインルールを打ち破り、より自由な造形を目指すことができます。
そして自らデザインルールを打ち破るデザインテクニックを使うこともできる。

強力な定着

ベッドに印刷物を確実に定着させておくのは印刷の基本のキの字。
定着無くして2層目無し、定着不良は印刷失敗や品質不良に連鎖的に発展します。
基本なんだけど、いろいろな手法と素材があって時に難しい場合が出てきます。

スライス設定としては一層目の速度とベッド、ノズルの温度やブリム、ラフト等で定着させるわけですが、ベッドの素材やベッドの表面状態の整備も大事になってきます。
これは特にABS等の収縮しやすかったり、印刷温度の高い樹脂で問題になります。

印刷物の適切な加熱と冷却

印刷物を融着させ、積み上げるためには印刷物の温度変化をコントロールすることが必要です。必要な時に必要なだけ加熱し、必要な時に必要なだけ冷やす。

加熱する道具はノズルとヒートベッド、もしかしたらチャンバー用ヒーターがあるかもしれません。
冷却する道具は主にノズルのそばについている印刷物冷却ファンです。

問題が複雑になる理由は、ノズルもベッドも温度が高ければよいわけでもなく、強い冷却風で冷やせばよいというわけでもないという事です。冷却設定の項目自体は少ないですが、工夫の余地は常にあります。

もし積層がばらばらになる場合はこのような解決方法が有効かもしれません。

適切なサポート材の設定

サポート材の設定は熱と距離をコントロールして融着をコントロールするという事に帰結すると考えています。。
スライスの3要素と言える定着のコントロールと、印刷軌跡のコントロールと、熱のコントロールは三位一体というか相互に影響し合う、非常に濃い見入ったものなります。
知る限りのサポート材をコントロールする方法のほとんどはこの記事の中に書いてみました。

線幅と吐出量コントロール

「高精細な印刷の限界はノズル直径に束縛される」というのが常識ですが、
けれども常識に精いっぱい抵抗して限界を押し広げることができます。
ノズルの物理的直径と押し出し長さだけで押し出し量を決める必要はありません。
ある程度であれば、細いノズルを一回り太いノズルのように、太いノズルを一回り細いノズルのように使うことはできます。

デザインルールは限界ではない

デザインルールは限界を示すものではありません。
スライス設定とモデリング上の小さなトリック、適切な装置の改造で造形の可能性を押し広げることができます。
もっと自由な造形をしてほしいというのがわたしの願いです。


すこし3Dプリントやスライス設定の奥深くを覗くことができたでしょうか?

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