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慰安婦判決を踏まえて韓国政府の反応 -- 韓国が抱える様々な矛盾

いわゆる自称慰安婦が日本政府を相手取って起こした裁判の判決で、日本の主権免除を認めず原告へ慰謝料を支払うよう命令が出た裁判の結果に関して韓国政府外交部の声明が発表されました。

外交部の立場の専門
1. 2021年1月23日に確定された日本軍慰安婦被害者提起損害賠償訴訟の判決に関する日本政府が外相人の談話を当日発表しました。

2.今回の訴訟の判決と日本側談話の韓国政府の立場は次のとおりです。

韓国政府は、2015年に慰安婦の合意が韓日両国政府間の公式の合意であることを認める。同時に、被害者の意思が反映されていない政府間の合意だけで、真の問題を解決することができないという立場を明らかにしてきた。

これにより、我々の政府は、日本の政府レベルでは、付加的な請求もしない方針や、被害当事者の問題提起を防ぐ権利や権限を持っていない。

韓国政府は、慰安婦被害者と相談して円満な解決のために最後まで努力するだろうが、日本側はまた、自ら表明した責任を痛感と謝罪・反省の精神に立脚して被害者の名誉・尊厳回復と心の傷の治療のための真の努力を見せるべきものである。

さらに、日本政府は、日本軍慰安婦被害者問題は、世界で類を見ない展示女性の人権蹂躙であり、普遍的人権侵害の問題としては、国際人権規範をはじめとする国際法に違反したことを直視すべきである。

韓国政府は、同判決が外交関係に及ぼす影響を綿密に検討し、韓日両国間の建設的未来志向的な協力が継続されるように諸般の努力を傾けてゲトウム。

簡単に言うと、

1.2015年の前朴政権時に合意した慰安婦合意を公式の合意であると認める
2.ただし慰安婦合意はだけでは真の問題解決にはならない
3.被害者の訴訟が続くとしても政府は止めないし、止める権利もない。
4.真の問題解決に韓国政府は努力するが日本政府も真の努力をすべき。
5.日本政府は非人道的行為を認め国際法に違反したことを認めろ。

…ということです。

積弊として糾弾した朴前政権の合意を認める矛盾

文大統領は大統領選挙出馬当時から、慰安婦合意を批判し当選後に検証委員会を立ち上げて内容を検証させ、真の解決に繋がらないので再交渉をすると公言していました。

実際には何もできず、やらず、放置したまま世論やメディアの厳しい反発に財団の活動がじゅうぶんにできないまま、機能不全に陥った財団を日本の了解を得ずに解体しました。当時、解体の話が出てきて日本側からは受け入れられない、合意に基づいた財団とその活動を継続して行うよう要求されたものですが、結局は解体し、日本側が拠出した10億の残り5億が宙に浮いたまま。確か、自称慰安婦に渡った金などは韓国政府が立て替えるなんて話がありましたが、だとすると10億丸々残っていて議論になるはずですが5億しか話に出てこないところを見ると、立て替えるって話も嘘だったかもしれないですね。

ところが、慰安婦合意で司法は、日本の主権免除を認めず、日本の併合は不法であり日本統治時代は不法な植民地支配であり、非人道的行為によって受けた精神的苦痛と被害を一方的に認めたため、韓国政府には日本が不法を犯して韓国に与えた被害に対する見解を示す必要が生まれた。

その結果、文政権は徹底的に否定し朴前政権の積弊と糾弾した慰安婦合意を文政権が引き継いで尊重する正式な合意だと認めざるを得なくなった。自分たちが否定し、死文化し実質破棄した状態に放置したものを公式の合意と認めることになった。

公式の合意となれば、合意内容を実行する義務と責任が文政権にあることを自ら認めることになるが、すべてやっていない合意不履行を日本から要求される屈辱と負担を強いられるとしても合意を公式のものと認めなければいけなかった苦悩がそこにある。


合意を遵守しつつ再交渉を要求する矛盾

それでも、慰安婦合意が被害者の意向を無視した政治的合意であり、被害者を救済するという真の目的のために役立たないものだと、韓国世論に迎合した見解を入れるのも忘れない。

韓国政府が慰安婦合意を完全に履行したとしても、真の問題解決には至らないので、これからも自称被害者たちの訴訟は続くだろう。その動きを韓国政府には止められないし止める権利がないと、訴訟騒ぎに対する韓国政府の責任に一線を引いてきた。

これは、訴訟騒ぎを止めろという日本側の予想される要求に対して事前に責任逃れをしてきたとも言えるし、訴訟が嫌なら慰安婦合意の再交渉をしろ…というメッセージでもある。

訴訟騒ぎが続くし日本の責任を認められて慰謝料支払いの判決がほぼ自動的に出る根拠に日本が激怒していることを承知の上で、今後の訴訟騒ぎに韓国政府は関知しないという、日本を煽るようなことをあえて入れてきているのは、慰安婦合意を公式な合意として認め、文政権に履行の義務があると認めた以上、最終的かつ不可逆的な合意であるとしたものまで履行する義務がついてくるからです。

慰安婦合意がまともな合意ではないから再交渉する!とした政権の課題も、合意が公式なものではないから最終的かつ不可逆的という文言に従う必要がないとした詭弁の上に成り立っていたのに、公式の合意と認めつつも被害者至上主義では認められない合意内容は再交渉しなければならないという矛盾。

その上、最終的かつ不可逆的の文言を無視する強引なことをしてきたとしても、慰安婦合意は公式の合意で韓国政府が履行するべき合意だが、内容の不備については日本だけに責任があり、一方的に日本に解決のための努力を盛り込んで韓国の希望する内容に変更する再交渉に応じろって、あまりにも独りよがりの言い分だけど、韓国の抱える矛盾をそのまま伝えるとそうなる。

韓国政府から再交渉を出しても日本は、韓国が公式の合意と認めた慰安婦合意の最終的かつ不可逆的という文言を盾に絶対に応じません。そのために、韓国政府は民間の訴訟を脅しのネタにして、日本が再交渉に応じなければ止まらない、止めたければ再交渉に応じろということです。

もちろん、再交渉に応じたからといって韓国の訴訟が止まる保証も、止める努力を韓国政府がする保証もありません。日本もそんな保証があったとしても乗ることはできません。単なる慰謝料請求訴訟の話では既にないからです。


司法判断に困惑しつつ否定できない矛盾

韓国政府が慰安婦裁判の判決や原告の今後の動きに介入する意思がないということで、出ちゃった判決について日本と原告の間のこととして韓国政府は間に入る気はない。問題解決に韓国政府は動かないと明言したわけだけど、これはまぁ、予想されたことで当然。

ただし、文大統領と韓国政府からは「徴用工裁判の差し押さえ資産の現金化、慰安婦の今後の差し押さえに動く動きについて望ましくない」というコメントが韓国内のマスコミに対する記者会見で出たりしたけれど。

日本の国有財産が差し押さえられ現金化されたら、国際法に基づいて日本が韓国の国有罪さんを差し押さえることが可能になりますから、今度は韓国政府が当事者になってしまいます。それは避けたいので現金化は嫌だけど、判決そのものは認めている。

判決理由になった「日本併合は不法であり日本統治時代は不法」は文政権の正しい韓国の歴史でもあるからです。

正しい歴史を押し通そうとすると、日韓基本条約も不法です。当時の朝鮮半島住人の個人請求権が韓国に移ったことも無効で、日本が相手先になります。訴訟騒ぎは放置するけど、相手が韓国政府だとバレたらまずい。それを否定するためには日韓基本条約の正当性まで言及しなければならないし、そこまで日本と対決する覚悟もない。ただし、正しい歴史は押し通したい。

わずか100年ほどの歴史の中で起きた出来事について整合性がとれずに二つの歴史が存在する韓国の矛盾。


韓国政府、これ言い過ぎじゃ…

日本政府は、日本軍慰安婦被害者問題は、世界で類を見ない展示女性の人権蹂躙であり、普遍的人権侵害の問題としては、国際人権規範をはじめとする国際法に違反したことを直視すべき

この一文は韓国政府の勇み足にも読めるんですよね。裁判所は不法な統治時代に起きた出来事であることを根拠に慰謝料を認めたのであって、慰安婦が人権を蹂躙され国際法に違反する行為を日本がやったことは検証も言及もしていません。想像に難くないことで明らかなこととは言ってたかな。

日本が国際人権規範(いつの時代のことか不明だが)をはじめとする国際法に違反したことを直視せよ…は、文政権の韓国政府の認識だということになります。そういう前提で今後の日韓関係を考えていくということを表明したと受け止められます。責任問題ですけどね。

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