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入管施設の実態を強制収容されていたクルド人の女性が語りました

これは証言をもとに再現した
日本の入国管理施設にある部屋です。
祖国を追われ日本に来たものの、
難民申請が認められず
入管施設に半年近く強制収容された
クルド人女性が
その過酷な実態を証言しました。
(2019年12月5日 放送分より)


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祖国を追われた幼い少女は、
2001年、見知らぬ国へやってきました。

しかし、その国に
求めていた自由はありませんでした。

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●小川キャスター
「こんにちは」

メルバン・ドゥールスンさん(24歳)
両親を追って6歳の時、
トルコから来日しました。

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少数民族のクルド人であるメルバンさん。


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彼女はこんな町で育ちました。

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●須賀川拓記者
「メルバンさんが幼少期を過ごした
トルコ南部のガジアンテップの街です。
トルコでは少数民族のクルド人は
抑圧のもとでの生活を
余儀なくされていました

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クルド人の中には、自由を求めて
海外に逃れる人もいます

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この町から日本に逃れてきたメルバンさん。

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●小川キャスター
「クルド出身として苦労されたことは?」

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●メルバンさん
クルド語は使えなかった
学校でも使ったら怒られたりした。
日本の学校では
クルド語でもトルコ語でも話せたから、
ここは平和だと

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日本では平和な日常を手に入れるはずでした。
しかし、10年以上、何度も出した難民申請は却下

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身柄を拘束されないものの、
行動範囲や就労などが制限される
「仮放免」
として
日本に滞在してきました。

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そして、2017年の6月、メルバンさんは
在留資格を持つ外国人男性と結婚。
ところが、その5か月後
突如、入管の施設に強制収容されたのです。

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●小川キャスター
「急に収容されることになって」
●メルバンさん
「なんでなんで と。」
「結婚したばっかりだったし」

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外国人が日本で生活するには、
出入国在留管理庁=入管の審査が必要です。

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メルバンさんを収容した理由について
入管に取材すると、
「個別の案件には答えられない」
という答えでした。

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全国にある入管の施設では、
不法滞在などで国外退去を求められた
多くの外国人を収容。
その数は、2019年6月末時点で
1147人にのぼっています。

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その施設に、メルバンさんが収容されたのは
6畳の4人部屋
その後、1人部屋に移されます。

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●メルバンさん
(収容から)2ヶ月後に血を吐き始めた。
薬も使っていないから

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もともと精神疾患を抱えていたメルバンさん。
しかし、薬の持ち込みが許されず、
医師の診断もままならなかった
ため
たびたび発作を起こしたそうです。
そんな状態で約1ヶ月入れられた部屋ですが、
そこは人権や女性への配慮からは
ほど遠い場所
でした。

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1人部屋は、3畳ほどの広さ。
トイレは膝くらいの高さの仕切りしかなく、
入管職員からは丸見えだったそうです。

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さらに問題は、監視カメラにより
24時間、男性に見られる場所だったことです。

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●小川キャスター
「例えばトイレに座っているときに
男性の職員が通りかかったりとか

●メルバンさん
「見られた。何回も見られた。
恥ずかしいし自由にできない。辛い。ほんとに
だいたいあなたたちは、プライバシーは
ないよ
』と言われていた、みんなが。
『入管は全部知るべき』と言われていた

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5か月後、メルバンさんは突然解放されました。
理由は、告げられませんでした。

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メルバンさんだけでなく、
別の外国人の女性収容者たちに対しても
同じ出来事が起きており、
監視カメラの問題は国会でも
「人権侵害」では?と問題視されました

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立憲民主党・初鹿明博衆院議員
「女性3人が収容された部屋は
監視カメラがつき、何の仕切りもなく、
トイレがある部屋でトイレをしている姿が
ずっとカメラに映っている状態だった」

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入管側は、監視カメラによる撮影を認め、
森まさこ法務大臣は
外国人の女性収容者の人権について、
「適正な処遇に努める」と述べています。

なぜ、こんなことが起きたのか?
今年3月まで、入管で入国審査官を務めていた
木下氏は…

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●元入管職員・木下洋一氏
人権の制限をすることで送還を促す。
収容者の人が音をあげて、
自分から帰っていくのを待っている。
人権の視点から言うと非常に問題

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入管施設を出て、
日常を取り戻したメルバンさん。
しかし、将来に大きな不安を抱えています。

●小川キャスター
「この先、不安はないというわけではない?」

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●小川キャスター
「また収容されるんじゃないかって?」
●メルバンさん
「そうですね」
●小川キャスター
「これから?」
●メルバンさん
ほんとに、もう。分からないですね

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6歳の頃に日本にやってきたメルバンさんは
日本の学校に通って日本人の友達と
日本人同様に暮らしてきたわけです。

それが突然収容されて人権が著しく
侵害されている環境に身を置かれた。

そんなことが起きている国が
一方では、外国人材を増やそうとか
共生しようとか
そういうことを訴えている
わけです。

メルバンさんがせめてもの願いとして
求めるのは
「同じ人間として扱って欲しい」
ということでした。

森法務大臣は国会で「状況を見直す」と
答弁していたわけですけど、
ではどんな改善が実際にあるのかとか
引き続き見ていきたいと思います。