杉本真維子詩集『袖口の動物』について
この詩集を初めて読んだのがいつのことだったのか、手に取ったきっかけが何だったのか、そういったことをまったく思い出せません。気づいたらそばにあって、何度も何度もくりかえし開いてきました。いちばん好きな詩集は何かと問われれば迷わずに『袖口の動物』と答えてきました、その答えは今後もおそらく変わらないでしょう。人に贈ったことも、貸したまま返ってこなかったこともあります。苦しい職場にいた頃におまもりとしてかばんの中に入れて出勤していたことや、かなしすぎる夜に抱きしめてねむったこともあり