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2時間程度で書ききる話シリーズ

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#創作

人生を迷路にしてるのはだーれだ?

ふと目が覚めると、迷路に立っていた。 暑い。屋根はなく今日は晴天だ。背丈よりも高い壁の上を風が吹き抜ける。その風を感じようと手を伸ばす。 ちなみに、ここが外なのに迷路だと分かったのは、さっき通りすがりの人が、親切にそう教えてくれたからだ。 他にも何人かの人がいて、どうやらここは広く、多くの人が迷い込んでいるようだ。 汗だくの人や、昼寝している人までいて、話し合っている人たちもいる。 「東京ドーム○○個分の広さらしいぞ」 「あちこちにヒントがあるらしい」 「ゴールには塔が立

令和2年12月8日、僕は死んだ。

もう少し正確に言うと、殺されてしまった。 もともと、長生きしたいと思うタイプではなかった。 太く短く生きられればそれでいいと、若い頃から思っていた。 それでも自分の人生を“太い”と思うことは、結局少ないままだった。 嫌なことばかりではなかったし、どちらかと言えば恵まれていた筈なのに。 何故そう感じてしまっていたのかなど、今となっては分からない。 妻がいて、子供もいた。 涙よりかは遥かに笑顔の方が多い生活だった。それなのに。 こんなことになるくらいなら遺書くらい書いてお

もしも僕が図書館の本だったなら、付箋だらけで奥の方に仕舞われた本だと思う。

回りくどい言い方はやめますね。 インプットばかりでアウトプットの苦手だった僕だからです。 言いたいことも伝えたいこともあるのに 「ここにいるぞー!読んでみてくれー!」 とは叫べませんでした。 僕がいる本棚の奥の方から見える、新刊や話題作やベストセラーが並べられる棚を眺めながら「うらやましくなんてないよ」なんて思っていました。 そして同時に「なんでみんな僕を手にとろうとしないんだろう」と首を傾げていました。 考えても答えが見つかることはなく、いつも“自分という本の中身”に