見出し画像

受け取ってはいけない名刺 ※18禁記事になりました※

世の中には渡したものの、「受け取ってはいけない名刺」というものが存在します。

今日はそれについてのエッセイをお送りします。

※※※

私はド新規でアポイントを頂いたクライアントへの訪問を終え、社用車に乗り込みました。

今日もキレッキレのトークだったな。

そんな自己満足に浸りながら、車を走らせようとしたその時、先程商談をした相手の女性がダッシュで私の方に向かってきました。

コンコンコンコン!

車の窓ガラスを叩きます。

どうしたのでしょう。私との別れが急に惜しくなってしまったのでしょうか。

「どうしました?」

私は爽やかに窓を開けました。

すると、その女性は私に紙を差し出しました。

おいおい、このタイミングで連絡先を渡してくるのかい?

モテる男はツラいねぇ。マッタク。

「あ、あの、、この名刺、受け取ってはいけない名刺だと思って、、」

ウケトッテハイケナイ名刺??

目の前には、私が挨拶で渡した名刺が差し出されていました。

おいおい、俺の名刺を受け取ってはいけない名刺ってどーゆー事だよ!?

全く意味が分かりませんでした。

「えっ、受け取ってはいけないというは、、?」

「あのう、、裏側。。。」

女性は気まずそうにそう言いました。

裏側を見ると、そこには、

ガッツリ、キャバクラのお姉ちゃんの連絡先が書いてありました。

カァーーー

顔が一気に赤くなります。

「あっ、あああああ、、そっ、、それは、、そっそっ、、そうですよね!たっ、、大変失礼しましたぁあああ、、、」

私はそう言い、その場を一目散に去りました。動揺で事故るかと思いました。

そう、それは前日のこと。

私は大型受注を獲得したお祝いにと、会社の先輩にキャバクラに連れて貰っていたのでした。

私自身、キャバクラはそんなに好きではなく、お姉ちゃん達が変わるがわる接客をしてくれてますが、そんなに楽しめてませんでした。

今でこそおっさん丸出しで、もしキャバクラに行ったとしたら、キレッキレのオヤジギャグを繰り出す自信がありますが(今はもちろん行ってないですよ)、当時はまだ若かったので、自らキャバ嬢にグイグイ話すことなんでなんてできなかったのです。

むしろ、こっちは金払ってるのに何でトークを盛り上げようとしないんだよ。とすら思っていました。

そんな中で、30代前半くらいのホールスタッフをしていた女性がいて、とても感じが良く、気になっていました。

私は盛り上がるトークに飢えていたので、そのお姉さんを指名する事にしたのです。

「ええー!私でいいんですか?」

「はい。お姉さんがいいんです。」

お姉さんは店のスタッフに許可をとり、接客してくれました。

「ニューノマン、よかったの??」

先輩も驚いています。
私にはキャバ嬢を口説きたいなどという感情は全くなく、その場で会話を楽しみたかっただけなので、もちろんOKです。

話を聞くと、以前は自身もキャバ嬢をしていたとの事。現役を退いて、今はホールスタッフをやってるとのことでした。

やはりベテラン、話の振り方や盛り上げ方がとても上手。私はそのまま最後までそのお姉さんに付いて貰い、楽しいひと時を過ごしました。

最後、そのお姉さんの連絡先を聞いた時に、お姉さんは名刺がなかったので、私の名刺の裏に書いて貰ってたのです。

そんな昨夜のことを私はすっかり忘れており、女性担当者に”受け取ってはいけない名刺”を渡してしまっていたのです。

いやー、恥ずかしすぎて、穴があったら入りたかったですねぇ。

その後、私がその企業訪問する事は、二度とありませんでした。


こいつに小銭でもめぐんでやろうか。そう思われた神のようなあなた!大変ありがとうございます(ノ∀`*)