鼻血を出しながら髪を切った話
私が生まれて初めて鼻血を出したのは美容室だった。
2階のガラス張りで陽当たりのよい空間。
ジャージャーと音を立てながらモコモコの泡頭で『セーラームーンの様に足首まで髪の毛を伸ばしてくるくる廻りたい。』水の音に負けない様に少し大きな声で私は話をしていた。小学1年生の私はロングヘアに憧れて、髪を切りたくないと意気揚々とシャンプー台で熱弁していた。
そんな子供の夢に美容師のお姉さんは優しく『そっか〜髪を伸ばしたいんだね。それじゃあお父さんに聞いてみようか』と話してくれていた。