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ぼくの勝利 #5「古い家柄の女」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第四章

ぼくはたくさん恋愛をした。でもぼくの人生では初めてのお見合いをする。ぼくの家は千年続く古い家系で、ぼくには予備校の専務という肩書がある。母親に言わせれば、良い条件ということらしい。ぼくは古い家柄の女性と会うことになる。

ぼくはお見合いに臨むために歴史がある港町に到着する。老舗の会社が立ち並ぶ船場として有名なところだ。ぼくのお見合い相手は老舗のお嬢様だった。千年の都と呼ばれる古都の料亭で、民族衣装を着たぼくは思った以上に様になっている。母親も自慢の美貌を振りまいてぼくのとなりに座っている。

お見合い相手のお嬢様は豪華な衣装を着てお人形のように鎮座する。そのとなりには老舗の会社社長である父親がいる。父親は言う。

「うちの娘にはなんでも習わせてきたが、家事はできない。炊事洗濯は君の方で誰か人を雇ってもらいたい」

ぼくは驚いたが、母親はお嬢様とはそういうものだと耳打ちしてくる。母親が肯定するのだからそうなのかもしれない。ぼくにはお見合いを断るような特別な理由はない。ぼくはお嬢様と結婚する。


ぼくが老舗の令嬢と結婚したことでぼくには箔がついた。千年の都では妻の実家の名前を出せばどこでももてなされる。ぼくの名前では入れないような高級店でも簡単に入ることができる。ぼくは名家の威力をまざまざと思い知る。ぼくは幸運な婿殿という立場を手に入れた。

ところがぼくが妻に内緒で遊んでも、ぼくの噂はすぐに義父の耳に入る。ぼくは名家の婿という特権を得た代わりに不自由さを手に入れた。妻は人形のように美しいが、血統書つきの猫のように気まぐれだ。実家で飼っている小鳥に会いにいくと言って、グリーン車に飛び乗って実家と家を行き来する。ぼくは妻の里帰りが多すぎると文句を言う。すると妻の代わりに義父が出てくる。

「娘の里帰りは仕方ない。都落ちした娘の絶望は君にはわかるまい」

ぼくが住んでいる町はこの国でもっとも繁栄している町だ。それなのに、妻の家族は自分たちが住む千年の都がこの国で一番重要だと思っている。

妻が実家に帰る回数がどんどん増えた。ぼくは妻に会うために特急列車に乗って妻の実家に通う。名誉ある結婚は不自由さだけが増していく。

…#6へつづく。

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「ユニバーサル・カバラの物語」
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グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』『カバリスト ぼくの成功物語』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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