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「菊池寛の遺書」


「菊池」「改名」「関東大震災」が
三十代前半の直木の人生を大きく変えた

 菊池寛は伯父、直木三十五の恩人だった。直木は早稲田大学を中退後、ろくな就職口もなく借金に追われる日々を重ねていたが、出版社の経営に参画しているうちに文壇でのつき合いも増え、大正9年に菊池寛の知遇を得る。この年、郷里の大阪で菊池寛、芥川龍之介、宇野浩二などを誘って「文藝講演会」を催すが、これがきっかけとなって彼の後半生を一変させる。

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