通夜のような東京五輪vs中国共産党“次の100年” カネよりビッグデータ、アントに続き「滴滴」が火だるま 「アルツハイマー治療薬」疑惑の承認プロセス
40億ドル、1.5万人、37%
IOCのためのオリンピック
何の因果か。東京五輪の開会日である7月23日は100年前、中国共産党が結党された日である。これまたどういう訳か、当の中国共産党は実際の設立日とは異なる7月1日を創設記念日として、東京五輪の22日前、北京の天安門広場で祝賀の大パレードを繰り広げた。全員マスク無し。満面の笑みがこぼれる顔また顔。習近平主席の表情が無言のうちに語っている。ざまあ見ろ、東京五輪よ。
東京五輪組織委員会の橋本委員長は「安心安全の大会のために、祝祭的な要素は取り除く」と言う。平和の祭典がお祭りでなくなる。お通夜のような五輪になってしまった。
しかも支離滅裂だ。選手同士の「密」は御法度のはずなのに、コンドームが配られる。その矛盾を突かれた組織委員会は「あれはお土産。帰国後、教育用に使って貰う」。当初、スポンサーのアサヒビールに配慮して「会場での酒類販売」にOKを出そうとしたら、当のアサヒから「いえ、結構です」と辞退された。そんな五輪をなぜ強行するのか。
ニューヨークタイムズ紙が6つの数字で謎解きをしてくれている(6月21日付)。1番目の数字は154億ドル。東京五輪に投じられた金額だ。1年延期したおかげで30億ドルも膨らんだ。これだけのカネをドブに捨てるとなったら、もはや単にカネの問題ではなく、日本という国の“ブランド”が維持できるのか、というところに追い込まれる。
続いて40億ドル、12.5億ドル、5億4900万ドル。最初の40億ドルはIOCの懐に転がり込んでくるテレビ放映権の総収入だ。このうち米国だけで12.5億ドル。IOCは予算の73%をこの五輪の放映権に頼っている。そこからお裾分け(IOCはこれを「連帯費」と呼ぶ)として5億4900万ドルが各国のNOCに配分され、選手の育成・訓練に当てられる。「もし、東京五輪がキャンセルされたら」と、英国のNOCが言う。「NOCの存続可能性に重大な疑義が生じるだろう」。