[宿痾の会社]風物詩「服部家」内部抗争の火種は残るがそんな場合じゃないセイコーは生き残れるか
1964年の東京五輪で公式時計を担当
クォーツウォッチ「アストロン」で席巻
花の都パリのフォーブル・サントノーレ24番地と言えば、世界中のセレブを魅了するプレステージブランド「エルメス」本店の所在地として知られる。「カレ」と呼ばれる絹のスカーフや、モナコ王妃の名を冠した「ケリーバック」などに世の大抵の女性は目を輝かせる。第二次大戦中はナチスドイツの将校たちも挙って買い求めたと伝わるが、日本での正式展開は意外にも、前回の東京五輪が開かれた1964年と遅かった。
旧西武流通グループを率いた堤清二の妹の堤邦子が尽力し、西武百貨店が輸入代理店となったものの、当初はほとんど売れなかったという。それが2001年には、銀座・数寄屋橋の一等地に地上10階建てのガラス張りの自社ビル直営店をオープンするまでに成功しようとは、誰も想像できなかったに違いない。
現在、円安の進行と訪日外国人観光客の復調とで賑わいを取り戻し出したこの「銀座メゾンエルメス」が建つ土地は、あまり知られてはいないが1997年までは、セイコーホールディングス(今年10月1日にセイコーグループと改称、以降セイコーG)が保有していた。