甕の不思議に導かれ 和食からナノテクへ

 結晶薄膜の成膜技術などの特許を武器とするベンチャー企業を営んでいます。ですが、実はもともと飲食業の経営者でした。和食で保管などに使う甕(かめ)がナノテクの世界に導いてくれたのです。

 実家は老舗割烹でした。厨房では「出汁は鰹と昆布の合わせ出汁がよい」とされたり、タレや焼酎などは甕で保管したり、料理人は昔から一番いいとされる方法を当たり前のように行っています。しかし、なぜそうなるのか。理系の大学を出た私は、それらの和食の技法を科学的に解明したくなりました。

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