バーチャルな至福と実生活を損なう脅威メタバースが生み出す新世界は・・(下)

情報支配の影の手

 期待と思惑が過熱するメタバースは、果たして人間にとっていい事ずくめなのか。KDDI、渋谷未来デザインなど75社の参画メンバーで構成する「バーチャルシティーコンソーシアム」は4月、メタバース運営のガイドラインを発表した。メタバースの共通理解を、「アバター(自分の分身)を介してアクセスするオンライン上の3次元仮想空間及びその仮想空間を用いたインターネットサービス」と記した。

 メタバースの要件のうち着目すべきは、次の点だ。「超多人数が同時接続し、アバターを用いて、仮想環境内で活動できる」、「別の仮想環境と相互運用でき、仮想環境内で自律的経済圏が存在すること」。つまり、参加の多人数性と新経済圏の創出を想定する。

 経済産業省はメタバースを「社会や産業のあり方を大きく変えるパラダイムシフト」と位置付けた。今や世界の多くの企業が「100兆円を超える新市場の到来」を見込み、取り組みに血道を上げる。

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