大構想もケチばかりがつく CEOの性格なのか、懐疑渦巻く楽天

🔻日本郵政との提携は吉凶どちらに転ぶか
  日米両政府は楽天を監視対象企業に指定

 連結従業員数が約2万4000名、連結売上高も1兆4500億円を超える日本を代表するテック企業の楽天が、賭けに出た。創業者・三木谷浩史CEOは、自らが1997年に立ち上げたEコマース「楽天市場」の名前を冠した社名を4月1日付で「楽天グループ」へと改称。金融、通信、プロスポーツなど“楽天経済圏”が拡大している実態を踏まえ、「グループの競争力と機動力向上」を目的に、22年ぶりとなる商号変更に踏み切ったのだそうだ。

 さらに、これに先立つ3月12日には、日本郵政との資本・業務提携の合意を発表。楽天が行う総額2423億円に上る第三者割当増資に日本郵政が1499億円を出資する形で応じ、8.32%を保有する筆頭株主になるというフレームだ。楽天は、日本郵政グループが全国で展開している郵便局や物流ネットワークと、会員数が1億人以上の楽天経済圏を組み合わせることで、新たなビジネス創造を図るとブチ上げた。三木谷CEOと日本郵政の増田寛也社長が満面の笑みで発表した内容は、経済界にも相応の驚きを以って受け止められた。

 因みに、この提携を受けてのマスコミの反応は、大量に投下されている「楽天モバイル」の広告に毒されているレガシーメディアは、概ね好感一色。全国津々浦々の郵便局の店頭に、「楽天モバイル」を勧める米倉涼子のピンク色の幟が立つことになるのかなどと、想像を先走りさせる見方も出た。一方、広告の恩恵とは無縁の独立系のネットニュースは、経営の軽さとスピードが命のテック企業の筆頭株主に、それとは対極的な官僚的風土を持
つ巨大組織が就くという前例はないと指摘し、遠からず、両社のアライアンスは同床異夢の状態に陥るとの論陣を張った。

 加えて、楽天への新たな出資メンバーの中に、日本郵政と並んで、中国ネット大手のテンセントが名を連ねていた点も問題視された。米中の対立が深刻化する中で、経済安全保障上から看破できないとの声が政府・与党からも上がり、そして実際に、日米両政府は楽天を「監視対象企業」に指定してしまった。

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