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草刈りの翌日は、自社の牧草で育った牛の焼肉

お盆前の気温は35度前後で、茹だるような暑い日が続いていた。約1ヶ月振りの実家に帰省すると、庭には大きな雑草があちこちに生えていた。夫は、すぐさま空き家を開け放った後、空き地の草刈りに取り掛かった。

私は、庭の雑草と格闘した。大きな雑草は手でしっかり掴め、力も不要なくらい簡単に引き抜けた。台風6号の接近で雨が降り、地面が湿っていたからだろう。それらをスポッ、スポッと抜いていくと、せっかく敷き詰めてある砂利まで、根に絡まり付いてくる。地面に草を叩きつけ砂利を払い落とし、ひっくり返し天日干しで枯れるのを待つ。
雑草は猛暑でも枯れもせず、台風の風雨にも負けない生命力がある。『疾風勁草を知る』とあらためて思った。

7月にスズメ蜂に刺された夫は、今回はしっかり麦わら帽子を被っていた。
『これは、腰に負担がかかるだろうな』と思いながら、草刈り機を操る様子を暫らく見守った。

翌日の私たちは、やや疲れ気味だったが、夕食を弟夫婦に招待されていたので、気楽にゆったりした日中を過ごした。夕方5時半に待ち合わせの『ビーフコレクション平松』 へ向かった。その店は、牛を1万3千頭も育てている平松畜産のグループ店である。

少し前、友人から平松畜産の牛肉を教えてもらったばかりだった。
そこの牛は、自社農場の安全な牧草で育てられていた。そのような処が故郷にあるとは露知らず、灯台下暗しだと思った。

いい牛をつくるには、餌になる牧草が大事。
いい牧草をつくるには土が大事。だから、「土づくり」からこだわるんです。
自分たちで種をまき、育てた安全な牧草を牛さんに与え、その牛の糞を堆肥にして、また畑や田んぼに返して牧草を作る。
土からいただいたものを、ちゃんと土に返しながら…自然と共に育てるんです。

出典 牧場からのおくりもの|ひらまつ 

是非その店に行ってみたい、と思っていた矢先の誘いだったので有り難かった。
約束の時間より30分早く着くと外はまだ明るく、広い駐車場に車はあまり止まっていなかった。1階は生肉と惣菜の店舗になっていたが、時間外のため閉まっていた。2階まで階段を上ると、そこはお洒落なレストランの雰囲気を醸し出していた。

ビーフコレクション平松にて

程なくして弟夫婦がやって来た。そして高級な焼肉セットが運ばれてきた。テーブルには、3種類のタレと塩が置かれていた。
肉の旨みは、塩で食べるのが一番と
耳にしたことがあり、私は迷わず塩を選んだ。臭みや脂のしつこさが少なく、肉質が柔らかく美味しかった。食べ過ぎた気がしたが、全く胃もたれもなく満足の極みだった。

墓参りや夫の同窓会、親戚の初盆などを済ませ帰路に着いた。
4日振りに我が家の玄関を開けると、生温い空気が澱んでいるようだった。

「夏場に家を空ける時は、何か対策をした方がいいね」と夫が言った。

庭の殆どのプランターは枯れていたが、一つの雑草の生えたそれは、意外にも元気だった。雑草が水の蒸発を軽減する役割りを担ったのだろう。雑草は外気温を下げる効果もあるだろう。夏場の草取りは程々で良いと思った。

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