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田舎土産は重い 地元のこだわり食品

 町営住宅の長屋で、生後間もない息子と親子3人で暮らすことになった40年前。夫は大学生からサラリーマン時代まで10年いた東京を離れ、地方の団体職員に転職した。初任地は出身地から車で1時間半近くの町だった。

 寒い冬のある日、オムツの予備洗いをしていると、鼻水がポタリポタリと、バケツの中へ落ちた。どうやら風邪を引いたらしい、しかし、気分は悪くないのでそのまま一日中家事をした。風邪薬も効かず、それから3日もすると熱を出し寝込んでしまった。
 畑違いの仕事に転職した夫は、てんてこ舞いで疲れていた。そして、とうとう助け舟を求めた。

 バスに2時間近く揺られて1人でやってきたのは、今は亡き義母だった。袋から色艶の良い大きめの南瓜を取り出しながら「田舎土産は、おびとばっかい(重い物ばかり)」と笑っていた。私は、床に臥していたので他のことはあまり覚えていないが、田舎土産と義母の手助けで快復した感謝の気持ちと、トンチの効いた頭の良い人だな。と思ったことは忘れていない。

 義母は優秀で小学生の頃に「天皇陛下を御前にして‥」と自分の作文を天皇陛下の前で実際に読んだ人である。かねては口数が少ないが、この話は本人が嬉しそうに教えてくれた。我が夫もよく似ていて口数が少なく大人しい。ほぼ毎日読書、1週間に10冊は朝飯前の静かな人生である。いつも饒舌な私とで夫婦のバランスが保たれている。

お気に入りの地元食品

 やたら、ワクチンという単語に敏感になっている今日この頃、とあるお店で『抗生剤、ワクチン投与はしていません』という品を見つけた。おまけに、餌にもこだわりがあった。棚の下段に置かれたそれをそっと手に取った。パック詰めされた4個の卵で、値段をみつめ1個あたりいくらかな、と暗算をしてみる。うーん、税込み90円くらいか、いつもの卵の3倍か、暫し悩む。しかし、完全栄養食品といわれる良質なタンパク質と考えたら安い物。という考えに至り購入した。

 直ぐに食べてみたかった。卵焼き、オムレツ、目玉焼きなど何れかに悩むが、鍋に水と2個の卵を入れた。沸騰してから13分で2個の贅沢な茹で卵が出来た。それを左右の手にそれぞれ持ち、カツンと叩いて殻にヒビを入れた。剥き身は白くツルンとして何の変哲もないが、味はどうだろうかワクワクしてきた。
 一口頬張り、初めて見る淡い黄色と凄くクリーミーで甘い味に感動した瞬間だった。近頃は仕事帰りの夫が6個入パックを二つ買ってくる。たまに「今日は、売り切れていた」と残念な日もある。

 そろそろ食用油がなくなりそうだ。今回はどんな油にしようか、オメガ6、不飽和脂肪酸、圧搾など多くのことを意識した。結局、オーガニック、圧搾、瓶詰めを焦点にして選んだのが地元の菜種油である。
 その菜種油は、菜の花を連想させるような黄色で香りも良い。健康のため、家計のためになるべく少ない油で調理しようと思っている。これも夫の仕事帰りに調達してもらった。


 地元の素晴らしい食品に出会い、製造や販売されている方々に自然と感謝の念が湧いてくる。医食同源、これからも素晴らしい地元の食品が食べられますように。

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