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ピアノの椅子の高さが決まらない。
いまは高めにしている。
よく言われる、肘と手の高さが床と平行になるようにしたのでは低く感じる。
肘が少し高いほうが弾きやすい。
以前は教科書通りに前腕と床が平行になるように椅子の高さを決めていた。
しばらくして、手首が下がっているほうが弾きやすいことに気づいた。一番いい場所を探すうちに、椅子を限界まで高くすることになった。
それでもわずかに足りずに、薄い低反発のクッションを敷いたりした。
体格は人によってさまざまだ。
背の高さは言うに及ばず、体重も、手の大きさも、また筋肉量や柔軟性も全然違う。
私は背が高いこともあって、腕が長い。
かっちりめのブラウスでは袖が八分丈になるくらいには長い。
だから、人よりも肘の位置が相対的に下がるのだと思うが、それにしてもだ。
ピアノの椅子はどんなものでも最高で57㎝くらいの高さだ。
当然私より背の高い人もいるわけで、みな既成の椅子で弾けているということは、むしろ自分の体の使い方に問題があるのでは?
ということを先生に伺ってみた。
先生は「人それぞれ」と仰る。
体格も、弾きやすさも、好みも、人それぞれ。
そのうえで、「あまり高くしないほうがいい」というのが先生のご意見だった。
それから、椅子の高さを一日1センチずつ下ろしてみた。
それくらいなら、素人の自分には違いが分かりにくいし、いつのまにか慣れていくのでは?と思って。
ところが。
鈍感な自分にもわかるものなんだ。
5日目くらいで「低すぎる」と感じた。
前日の4センチ下げたところまでは何とも思わなかったのに、ほんとに急に弾きにくくなった。
一度自覚するともう前日の高さでも低く感じて、けっきょくまた元に戻したけど、どの高さが一番自然なのか、もはやわからない。
自分にとって、というか、よい音を出すための最適解を探しているので、高い椅子がいいとなれば誰が何と言おうとそれでいいのだけど。
先生も「そのときによって弾きやすい高さは変わっていく」と仰ったし。
演奏動画を見ても、椅子の高さは本当にひとそれぞれだ。
でも、どんなひともたぶん、順序としては、よい音を出す体の使い方が先にあって、それに合わせて椅子の高さを決めているのでは?
何にしても、何一つ確信のない私にはいつまでたっても決められない。
似たようなことで、椅子のどこにお尻を置いたらいいか、というのも実はけっこう迷っている。
私はすごく浅く腰掛けるのが好きで、坐骨が椅子に引っかかるくらいがちょうどいい。それ以上深く座ると足がしびれる。
弾いてるとき若干前傾だということにも最近気づいた。
そのほうが弾きやすいと思っていたけど、椅子の高さが座る位置を決め、前傾に誘導しているかもしれない、と高さに迷い始めてから感じている。
全部繋がっている。
こちらを引っ張れば、どこかで何かが引き攣れている。
一つを解決しても、全体の解決にならない。
そもそも解決することがない。
ゆるっと全体が調和するように、絶えず調整し続けるイメージ。
いい塩梅を知るのにも時間がかかる。
椅子の高さは決まらない。
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