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すみだ今昔さんぽ(前編)・・・楽員名鑑

新日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーを、趣味やライフスタイルを通して紹介するnote。 第1回は、2021年4月に入団したばかりのコントラバス奏者・原田遼太郎と新日本フィルの本拠地、東京都墨田区の街を歩きます。原田の趣味は古地図収集。聞き手は新日フィル・打楽器奏者の腰野真那ですが……歴史の知識ゼロ・地図も読めない腰野。はたして2人の会話は成り立ったのか!?


嚙み合わない二人、そして突然の杉山和一さん


古地図を見ながら墨田区をさんぽする、ということだけ決めて、「墨田区で何か面白そうな所探しといてください〜」と、すごく雑なお願いをしてから数日後…

原田「腰野さん、今ちょっといいですか?」

腰野「え、はい、どうしましたー?」

原田「この前、津に行った時にすごいことを発見しちゃったんですけど……」

※新日本フィルは三重県津市と地域拠点契約を結んでおり、よく津で公演をしています。

原田「杉山和一さんて知ってますか!?」

腰野「…や、知らない…です」

原田「杉山和一さんていう津出身の方がいて、鍼の凄い人なんですけど、墨田区に江島杉山神社っていうのがあって……」

腰野「いやいやいや、ちょっと待ってください(笑)」

原田「えーとだから…」

そんなこんなで始まったブラタモr……じゃなかった、すみだ今昔さんぽ。
実は新日本フィルとも意外なところで縁がある杉山和一さんを調べていたら、墨田区にある江島杉山神社にたどり着きました。

さんぽのスタート地はJR両国駅。
原田遼太郎と行く、すみだ今昔さんぽ、はじまりますー!


お相撲さんの街両国は、歴史的な見どころばかり

JR両国駅の改札を出ると、さっそく鬢付け油の香りがどこからともなくしてきました。錦糸町でも、駅や街のいたるところで香ってきますが、姿は見えずともどこかにお相撲さんがいるのを感じ、ちょっと嬉しくなります。

原田「おはようございますー」

腰野「おはようございますー」

原田「じゃあ早速行きましょうか、まずは京葉道路に出ましょうかね」

腰野「・・・けいおうどうろ?」
(なぜみんな大人は道路の名前を知っているんでしょうか。しかも文字起こしをしている今この瞬間まで私はけいおう道路だと思っていました。)

原田「あ・・・あっちの方向ですね」

腰野(・・・多分、今ので全部察したな)

困った時は地図を見ましょう。
原田が指さしているのが今日の目的地、江島杉山神社です。
JR両国駅東口から徒歩9分。

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京葉道路に出ると、回向院の門が見えてきました。

原田「次のすみだ今昔さんぽでは回向院に行きたいですね~。国技館も昔は回向院の中にあって、当時は勧進相撲という名前で開催されていたんですよ。」

腰野「へー!そうなんですね!」
(・・・ん?次?)

原田「実は新日本フィルの本拠地が墨田区になったきっかけの一つが国技館らしいんですよ。」

腰野「え!?」

(この国技館の話の続きを読みたい方、この回が好評でしたら”次”があるかもしれません。皆様、ぜひ目に見える形で原田にエールをお願いします!)

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原田「ちょっと川の方に遠回りしますね」

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原田「今いるのが一つ目橋だから・・・
御船蔵って呼ばれてたんですけど、江戸時代初期に作られためちゃくちゃでかい安宅丸(あたかまる)っていう船がここに停泊してたんですよ。」

※当時としてはかなり巨大だった安宅丸(全長62m、幅約16.2m)。何の目的で作られたか記録には残っておらず、江戸の名物だったようですが、その維持費が莫大だったこともあり、約50年で解体。現在は、安宅丸を模したクルーズ船などが作られ、人気の観光スポットとなっています。

原田「この一の橋(昔の一つ目橋)を渡ると、江戸時代には”一つ目”と呼ばれていた地域に入って行きます。」

(この"一つ目"という地名、このあと出てくる杉山和一さんにとても関係が深いのです)

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橋を渡って少し歩くと江島杉山神社に到着です。
アパートやビルに囲まれた空間は、周りに溶け込むと同時に、なんだかしずかな空気が流れています。

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杉山和一さんと、江島杉山神社

神社のすぐ隣にはモダンな建物、鍼灸あん摩博物館があり、最初にそちらで宮司の田部裕子さんにお話を聞くことができました。

クラシック音楽好きという田部さん、なかなか時間が無くあまり演奏会には行けないけれど、江島杉山神社ではよく演奏会も行っているとのことです。

田部「この神社は何でお知りになったんですか・・・?」

原田「まず、墨田区の歴史的なものを見ることから、もう一度墨田区を掘り下げようと思っていたんです。
そこで、せっかくだったら音楽にまつわることがいいなと思って地図を見ていたんですね。そしたら弁財天が目に入りまして。」

※弁財天は元々川の神様だが、水の流れの音が音楽を連想させることから、音楽をはじめとした芸術や学問全般の神様として信仰されている。琵琶を持った姿が描かれることが多い。

原田「その位置を現在の地図で見たら、江島杉山神社と出てきたんです。」

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田部「なるほどそれで・・・」

原田「それで江島杉山神社を調べてみたら、杉山和一さんのお名前が出てきまして。しかもそれを発見したのがちょうど三重県の津に向かっている電車の中だったので、駅前の公園に石碑があると知り、これは行くしかない!と思って仕事の合間に行ってきました。」

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田部「そうなんですね!…実はまだ私も行ったこと無いんですよ。
杉山和一さん、津市で武家に生まれたんですけど小さい時に大病で失明されて、家は継がずに手に職を、というのでかなり若い時に津は出てしまったんですね。そのあと江の島や京都で修行されて、最後は江戸のこの地で亡くなったんです。」

※杉山和一(すぎやまわいち)
三重県津市出身。大病ののち失明し、鍼灸師となる。鍼の施術法の一つである管鍼(かんしん)法を創始すると共に、鍼・あん摩技術を磨くための世界初の視覚障碍者教育施設となる「杉山流鍼治導引稽古所」を開設した。


さて、杉山和一さんや見どころ満載の神社のお話は後編に続きます!
お見逃しなく!

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腰野真那
群馬県出身。武蔵野音楽大学卒業。桐朋オーケストラ・アカデミー研修課程修了。2016年新日本フィルハーモニー交響楽団に打楽器奏者として入団。
これまで打楽器を久保昌一、関谷直子、坂本雄希、故・塚田吉幸、堀川正彦、松倉利之、宮崎泰二郎の各氏に師事。室内楽を中谷孝哉、吉原すみれの各氏に師事。現在オーケストラでの演奏を中心に、吹奏楽や室内楽、ソロでの演奏や後進の指導、司会者やライターとしても活動している。
好きな食べ物はチーズとラーメンとフィナンシェ。趣味はNHKの連続テレビ小説鑑賞。
Twitter:@ManaKoshino

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