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高い壁を超える時の2つの方法


あなたの目の前に「声が小さい」ことで悩んでいる人がいるとします。

あなたは、どんなアドバイスをしますか?

果たして「大きい声を出そう」とアドバイスすれば、その人の悩みは解決するのでしょうか?

そのアドバイスでは解決できない可能性が高いです。

なぜなら、きっと今までもそのアドバイスはされてきているはず。

そのアドバイスが有効なら、とっくに悩みは解決できているはずだからです。

では、どうしたら問題解決できるのでしょうか。

問題解決のための方法は、「練習」ではない。


問題解決のために必要なことは...

「どうやったら、大きい声で話せるようになるのか?」

具体的には「どんな練習をしたら、大きい声で話せるようになるのか?」

解決するための「方法」、つまり具体的な「練習方法を考える練習」を考えるべきなのです。

この「練習方法を考える練習」こそ、第1の「出来ないことが出来るようになる”魔法の方法”」なのです。

私自身、この「練習方法を考える練習」には随分助けられました。


時間を割くべきなのは、



「練習方法を考える練習」、それはバークリー音楽大学留学時代に生まれました。

「ジャズの学校」であるバークリー音楽大学のギターの基本メソッドは全てジャズでした。

在学中に「Proficiency」(直訳:習熟度)というギターのテストを、レベル1からレベル4まで合格しなければ卒業できないシステムでした。

元々私はジャズギタリストではなかったため、「ジャズは難しかった」のです。

「こりゃ、普通にやったら無理無理。それじゃ合格できない」

でも、それでは卒業できないので、私も必死でした。

「どんな練習をしたらいいんだろう?」

…というように

「練習方法を考える練習」

をするようになりました。



電車に乗っていても「練習方法を考える練習」をしていました。

頭に浮かんだ練習方法をやってみては、

「あっこれいけそうだ!」

「あっこの練習はだめだ!」

…という「実験」を繰り返しました。


もう「あの手この手」です。

まともにやってもダメなのはわかっていたので、

頭に浮かんだ練習方法を、片っ端からトライするしかないのです。


そのような、「練習方法を考える練習」、そして「実験」を繰り返し

なんとか「Proficiency」をレベル1からレベル4まで合格、無事卒業できたのです。

でも実は、ギターを弾いている時間はそんなに多くはなかったと思います。

それより「練習方法を考える練習」に時間を割いたのを覚えています。


具体的方法


このときの経験は、作曲にも役立ちました。

いざギターやピアノを弾く前には、イメージができているべきなのです。

イメージがないままに、「作曲作業」に入ったとしても、迷うばかりです。

必要に迫られると、おのずから発明や工夫がなされる、「必要は発明の母」といいますが、「出来ないことがあった」おかげで、「練習方法を考える練習」という「魔法の方法」に辿り着けたと思っています。

この「魔法の方法」は、その後直面した様々な問題や悩みも解決してくれてましたし、現在、ボイストレーニングの指導をしていても多くの生徒さんを救ってくれています。


では「練習方法を考える練習」とは何か、具体的に説明すると...


例えば、「声が小さい」という悩みを解決したい場合

まずは、その原因を分析します。

<原因 と 対策>
「どこか自信がない自分」→「自信を持てる自分」に変える

根本的な原因は「どこか自信がない自分」

目先の結果を急いで無理やり「声を大きく」することは根本的な解決にはならないので

大元の「どこか自信がない自分」を「自信を持てる自分」に変えれば良い、ということになります。

次に具体的方法を考えます。

<方法>
「アウトプットから考える方法」

ここでの方法こそ、第2の「出来ないことが出来るようになる”魔法の方法”」の「アウトプットから考える方法」です。

「アウトプット」とは「形」、要するには「なりたい自分」です。

まずは「形から」でも「なりたい自分」=「自信を持てる自分」に変えてしまえば「中身」は後からついてくるからです。

では「自信を持てる自分」「自信がある自分」とはどんな人なのか?

アウトプットから考えると...

例えば、「ゆっくり話せる人」は、周りから見て「ゆったりした人」そして「自信がある人」に見えるのではないでしょうか。

だったら、「本当の自分」は一旦置いといて、「ゆっくり話せる人」になれば良いということになります。

「形から」でも「ゆっくり話せる人」そして「自信がある人」に見えれば、

次第に「本当の自分」も「自信がある人」に近づいていけるはずです。

この「アウトプットから考える方法」なら、

「声が小さい」という表面上の問題に固執しなくても、

大元の「どこか自信がない自分」を「自信を持てる自分」に変えさえすれば良いのです。

そして、そのためには「ゆっくり話す」こと。

事実、私が行なっているレッスンでも

「声が小さい」生徒さんには「大きい声を出して」とは言わずに「ゆっくり話そう」と指導します。

具体的にはメトロノームを使って、ゆっくりのテンポに合わせて話す練習や

「戦場カメラマン 渡部陽一」さんのモノマネでゆっくり話す練習を行うと

「声が小さい」という問題は改善されています。

この練習だけをみれば「早口を治す練習」に見えると思いますが、実はとても有効な「小さい声を改善する練習」になるのです。


問題解決は逆算で解決


人はうまくできないことがあると、ついその「症状が出ている問題」のみに目がいきがちです。

たとえば、「音程が不安定」だとすると、その「音程を良くする」ことのみ意識してしまう…

指導者にしても「そこの音程が低いよ」と単なる指摘、「音をよく聞いて」と漠然としたアドバイスに終始することが多いです。

もちろん、そのやり方で解決できれば良いですが、それでは解決できない場合は

私の30年に及ぶ指導経験から…

1.「練習方法を考える練習」

2 .「アウトプットから考える方法」

を強くオススメします。

私を含む多くの人の「出来ないことが出来るように」してくれた「魔法の方法」だからです。

小泉 誠司

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