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マドリッドで電車に乗り遅れた話

旅とはハプニングだ。添乗員と一緒に予定通りにこなして、何事もなく帰ってくるツアーは旅とは言わない。引率旅行だ。

ハプニングを楽しめない限り、旅行を楽しむことはできない。バックパッカーだった学生時代は、いい意味でハチャメチャだったけど、さすがにこの年となるとハチャメチャとはいかない。

航空券の種別の都合で予定より一本遅れてマドリッドに着いた私は、そこからタクシーでも30分かかるAVEの駅から予定していた列車に乗ることを諦めていた。アトーチャと呼ばれるそのAVEの駅は、東京駅みたいなもので、在来線から新幹線、それをAVEって言うのだけど、なんでも走っていて、もう人がすごいたくさんいる駅。みどりの窓口のようなところでチケットの変更をお願いしようと思ったら、なんだかざわついている。ポリシア(警察)も来て、騒然としている。「今日の乗車券を買う方は自販機でお願いしまーす」ひとりの職員が大声で叫んでる。仕方ない、自販機に行くと長蛇の列。これじゃぁ一時間後のつぎのAVEも間に合わない勢い。考えた結果、騒ぎが収まるまでバルでビールでも飲むことにした。急ぐ旅じゃあるまい、騒ぎの高みの見物と洒落込んだ。

騒ぎが収まった頃にサクッとチケットを買った僕は、出発ギリギリなことに気づいて、ホームまでを慌てて走っていった。あぶないあぶない。