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【劇場めし 第12回】駒場東大前のティラミス専門店

「劇場周辺の、おすすめのご飯屋さんをご紹介!」する、このコーナー。今回は駒場東大前駅界隈に行ってきました。駒場東大前といえば、やはりこまばアゴラ劇場東京の小劇場シーンを牽引する劇場のひとつであり、若手カンパニーや全国各地で活動する団体の東京公演などを積極的に支援しています。また、東京大学の駒場キャンパス内には駒場小空間という施設があり、演劇サークルによる公演なども盛ん。主なアクセスは京王井の頭線ですが、僕は渋谷駅から歩いて行くことが多いです。徒歩で約20分ほど。途中に以前紹介した十割蕎麦「嵯峨谷」の渋谷店があり、そこへ寄るのも好き。

僕が駒場東大前へ行く目的のほとんどがアゴラなので、劇場以外の場所に立ち寄ることは稀ですが、面白そうなお店が多いのも事実。チェーン店は少なく、特徴のあるお店が目立ちます。色々調べていくうちに、これは!? と感じた、ティラミス専門店「ティラミス ホームメイド」へ行ってみました。

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入口正面にはティラミスを並べたショーケースが。ティラミスというと「…ケーキ?」程度の知識しかない僕ですが、瓶に入っている縦長のソレに興味津々。見た目もおしゃれだし、何より美味しそう。入店前はテイクアウトすることを想定していましたが、イートインスペースが空いていたので、店内でもいただくことに。お店の方に色々質問しながら、まずはベーシックなプレーンティラミスをチョイス。お土産用には季節の限定ティラミスなどを選びました。

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さて、瓶の蓋を開けて、まず一口。こ、これは……。とても優しい、甘さ控えめのお味。尖ったところの少ない、全体に調和のとれたなめらかな甘味が、口の中に広がったかと思うと、スッと溶けていきます。後からふわりと素材の特徴が香り、その主張も非常に繊細。舌触りもスムーズで、なんというか、これは、優しい洋菓子です。

例えば「今日は自分へのご褒美にスイーツを食べたい!」という日があるとして、そういう時はハッキリしたご褒美感が欲しいもの。自分好みの味!とか、特徴がしっかりしている! 等々。でも、このティラミスは、食べた感を演出するご褒美ではなく、食べた人の心にそっと寄り添うようなご褒美。作り手の気持ちが伝わってくる……と言っても、それは僕の勝手な妄想かもしれませんが、とにかく、「人が手作りしたものをいただく」という行為の豊かさを、改めて感じた気がします。

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優しい甘さ&ふんわり食感を堪能していたら、あっという間に完食。最後の一口をスプーンですくいながら考えたことは「…食べ終わるのが勿体ない」でした。幸せな時間だったなぁ、また食べたいなぁ。と思わせてくれるティラミス。特別なご褒美というより、日常にいて欲しい、あって欲しい存在かもしれません。

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お土産用にテイクアウトすると、丁寧に包装してもらえるのも嬉しいポイント。こういうところにも気配りを感じます。お店の方と立ち話をさせてもらいましたが、僕の感想を伝えると「バランスのとれた、老若男女どなたでも食べやすい味を目指しています」と仰っていて、深く納得。そのこだわりがしっかり反映されたお菓子だと感じました。ちなみに、お店のホームページによると、ティラミスの語源には「私を元気づけて」という意味があるそうです。作り手の想いやトータルコンセプトが行き届いているティラミス ホームメイドさん。素敵なひと時をありがとうございました!


文:園田喬し(演劇ライター・編集者・『BITE』編集長)


ティラミス ホームメイド(TIRAMISU HOME MADE)
東京都目黒区駒場1-33-6 東京シティビル1F
TEL:03-3460-3960


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