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好きなものに全力!!「民藝の100年」展

こんにちは、スタッフの吉澤です。
本日、「#おちらしさんで発見」ウィーク2日目です!

おちらしさん美術6月号・10月号の中に入っていた「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」のチラシ。ビジュアルにインパクトがあるので、印象に残っている方も多いかと思います。

薬缶みたいだけれど、下の方が広がっていて、UFOみたいになってるちょっと不思議な形の……なんだこれ?な道具が写っている写真。妙に頭に残ってしまう……。
民藝についてはあまりよく知らなかったのですが、実際に見るとどんな感じなのか、ほかにも変な形の道具がいっぱいあるのか、いろいろ気になったので東京国立近代美術館へ見に行ってきました!

民藝とは「民衆的工芸」のこと。日常的に使っている職人手作りの生活道具の中にこそ、観賞用に作られた美術作品に負けない美しさがあるという考えで、1926年に柳宗悦らによって提唱されました。

柳宗悦が工芸品を蒐集し『民藝』と名付けたところから、世の中に認知され、民藝の枠組み自体も広がっていく過程が展示品と共に語られているのですが、とにかくボリュームがすごい!ひとつひとつじっくり見ていたら、全部回るのに三時間半かかりました。壮大な100年の歴史よ……!

全国、そして海外からも集められた民藝品は、どこかユーモラスで温かみを感じるものばかり。
色味が渋くて味がある壺に、思わずほっこりしてしまうタッチで描かれた掛け軸、素人目にはいっそ雑にも見える豪快な皿などが展示ケースに所狭しと並んでいて壮観です!

壺や皿など用途がすぐに分かるものもあれば、「一体何に使うんだ?」と首を傾げてしまう道具もたくさんありました。
それは、例えば昔の囲炉裏で使っていたような、生活様式の変化により普通だったら消えていくはずの道具だったりします。それらが使用跡も含めてひとつの『作品』として後世に残るって、なんだか素敵ですよね。

この展示では、民藝品だけでなく、民藝を広げた人たちの活動についても詳しく知ることができます。個人的には、こちらの方によりグッときました。「好きなものを絶やさずに広めたい!」という熱意が、すごくカッコいいんです!!

展示会を開いて人々に見てもらうだけでなく、実際にお店を開いて市場に流通させたり、自分たちでも民藝品を作成したり、「工芸」という雑誌を発行して広く紹介したりと、ありとあらゆる方法で民藝品を世の中に広めていきます。

雑誌作りにおいては、民藝の中心人物である柳宗悦が編集者として「民藝品の良さを人々に伝えるにはどうしたらいいか?」ということを考え、めちゃくちゃセンスのいいものを作っていました。
「民藝品のことをよく理解していないと良い写真は撮れない」とカメラワークにこだわる、写真映えのため下に敷く布も一番合うものを選ぶ、掲載の際にはトリミングなどの技術を駆使してレイアウトを整える……などなど、今聞いても勉強になることばかり。
当時私がもし生きていたら、並んででも絶対手に入れていたと思います。そして周りに布教していたことでしょう。当時もそうやって広まっていったのかな……。

有り余る情熱に、行動力と技術力、そしてセンス。なんとなくチラシの写真が気になって出かけた美術館で、ものすごいパワーを浴びてしまいました。だから美術展って面白い!

柳宗悦氏の書斎(撮影可)

100年分をここで語るには時間が全然足りないので、興味がありましたらぜひ東京都近代美術館へ足を運んでみてください!2月13日(日)まで開催しています。
「興味はあるけど、ちょっと難しそう……」という方も、大丈夫。会場入口でアプリをダウンロードして解説が見られたり、音声ガイドの貸し出しもある親切設計になっています。(私も、もちろん音声ガイドを借りました)

私事ですが、令和になり、ますますデジタル化が進む中で「民藝のようにチラシ文化を残していきたい!!」とあらためて気合が入りました。

最後に。チラシに写っていた道具の正体は、山形市の「羽広鉄瓶」というもので、熱効率を上げるためにあのような形になっているそうです。実物は、予想していたよりもすこし小さく、絶妙な形がとても可愛かったです。


東京国立近代美術館
「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」


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