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【劇場めし 第3回】北千住のコッペパン専門店

「劇場周辺の、おすすめのご飯屋さんをご紹介!」するこのコーナー。今回は北千住界隈に行ってきました。僕にとって北千住の劇場といえば、THEATRE1010(しあたーせんじゅ)や、北千住BUoY(ぶい)を思い浮かべます。1010は北千住駅に隣接するアクセスの良さがあり、BUoYは若い表現者を意欲的に支援する演目が多く、どちらも印象深い劇場です。ちなみに北千住駅はJR・東京メトロ・東武鉄道など、複数の路線が通っています。

北千住のめしですが、前回の錦糸町駅と同様、良い感じの飲み屋さんが多く、お酒好きの僕には大変魅力的な街です。過去に北千住の立ち飲み屋さんでハシゴ酒を楽しんだこともあります。なので、真っ先に思い出すのは居酒屋さんや立ち飲み屋さん、なのですが…。今回は敢えて「テイクアウトでいこう!」と。テイクアウトを楽しむ。これもまた、劇場めしの醍醐味のひとつです。

ネットで北千住のテイクアウトについて調べてみると、昨今テイクアウトに力を入れているお店が多く、魅力的な選択肢で溢れています。そんな中、僕がとりわけ惹かれたお店が今回ご紹介する「2583 kitchen DELI coupe (にこみやきっちん でりこっぺ)」です。

外観

まず惹かれたのが「2538(煮込み屋?)」なのにコッペパン専門店という点。「コッペパンに煮込みを挟むの? やべぇ、食べてみたい!(←酒好きの発想)」と。ネット上の写真を見ると、煮込みが挟まれたパンではなく、スイーツ系や惣菜系など、美味しそうなメニューがズラリ。「よし、ここにしよう!」と思いながら、心の奥底に「…裏メニューで煮込みコッペがあるのでは!?」という期待も秘めつつ、いざ北千住へ。

お店は北千住駅から徒歩5分程度。途中、北千住の宿場町通り商店街を通るので、歩くこと自体が楽しいです。店頭にあるメニュー紹介の写真がどれも美味しそう。この取材時には、テイクアウト注文した中からひとつ、具材をマシマシにできる特別サービスを実施していました。期間限定らしいので、ご利用の際はお店の方に直接お問い合わせ下さい。

メニュー2

いざ入店。手指をアルコール消毒し、メニュー表の前に立ちます。…ダメだ、これは迷うやつ。普段一人で外食する際はあまり迷わないタイプなのですが、これは迷う。スイーツ系も惣菜系も、どちらも魅力的。お腹も空いている。いやいや、記事化を前提に選ぶべき。ぶっちゃけ一通り食べたい! etc…。悩んだ末にスイーツ系1種、惣菜系2種をオーダー。ひとつは劇場付近で観劇前に食べる用、残りは自宅用に。店員さんが親切な方で、僕が話しかけたら色々教えてくれました。2538というのは北千住にある人気ビストロで、ここはその系列店。その2583で仕込んだ食材を活用したコッペパン専門店なのだとか。それで具材がどれも本格的なのかー! と納得。

さて、実食です。ひとつめは観劇前に「こだわりたまごコッペ」を劇場付近で立ち食い(笑)。観劇前にお腹を軽く満たすには丁度良いサイズ。これは、しっかりと旨味を感じられる卵です。濃厚な黄身とあっさり白身のバランスが良く、パンとの相性もバッチリ。完全ペースト状ではなく白身の食感が残っている、個人的にも好みのたまごサンド。

たまご2

お次は自宅での夕飯に「厚切りローストポークコッペ」を。写真を見た方はお分かりかもしれませんが、具材マシマシにしてもらったのはこちら。美味しそうなローストポークが2本!(※通常は1本)  もはや「挟む」という概念を越えためちゃくちゃ嬉しいサービスです。別容器に入った特製ソースをかけていただきます。……美味い。食べ応えもあり、ランチで食べたら午後の仕事に気合いが入るやつ。柔らかいけど厚みもあるローストポークが肉食欲に応えてくれます。付け合わせの野菜もピクルスのようなサワー系で、ガブリとやった時、口の中に広がる旨味の調和が嬉しい。

ポーク

みっつめは翌日のお昼にいただいた「ふわとろコッペ(チョコ味)」。これは、コッペパンもさることながら、クリームを堪能する一品。チョコクリームは単調な甘さではなく、何層もの甘さが感じられる奥深い味。ラストにうっすら感じる塩味はコッペパン由来? このクリームとコッペの掛け合わせは、普段あまり甘い物を食べない僕も後を引く感じ。

チョコ2

最後に肝心のコッペパンの感想も。外側はパリッとした薄皮で、内側はしっとり。無添加全粒粉使用ということで、その香ばしい風味も食欲を刺激します。穀物の甘味・旨味も感じとれ、具材と合わせた時の食べ応えや食感も重視していると感じました。コッペパンを頬張る時の幸福感。口を大きく開けて齧りつく楽しさや、その価値について。

今回は「この時期だからこそテイクアウトを楽しみたい」と考えました。観劇前後にお店へ立ち寄ることは、とても楽しいことです。食事を楽しみつつ、友人と芝居の感想を語り合えたら、その日は満点の1日になるでしょう。でも、観たお芝居の感想と共に、その近隣のお土産をテイクアウトし、家でゆっくり過ごす時間も、また格別ですよね。こういう観劇ライフを今のうちに満喫するのも一興かと思います。そして、ここで宣言しておきますが…、次に北千住で劇場めしの原稿を書く際は、必ず飲み屋さんを選びたい。北千住、めっちゃいい街なんですよー!! 特にお酒好きには。


文:園田喬し(演劇ライター・編集者・『BITE』編集長)


2583 kitchen DELI coupe
東京都足立区千住4-19-16
TEL:03-3870-5600

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