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かぶりつきで味わえる、知の在り方と美意識の結晶――国立西洋美術館「内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙」
「写本」とは、印刷技術が発明される前の書籍のこと。羊や子牛などの動物の皮を薄く加工して作った紙に、膨大な時間と労力をかけて手書きで文字が書き写されます。写本は軽く持ち運びやすいため、中世ヨーロッパにおいてはキリスト教の教えを伝えたり、国をも超えて技術・知識が伝播したりすることに非常に役立ちました。当時の最先端の表現を用いた華やかな彩飾が施されたものもあり、一つの紙の上に知の在り方や、当時の美意識がギュッと凝縮されているのです。 そんな「写本」を間近にじっくりと観られる展示が
丘田ミイ子の【ここでしか書けない、演劇のお話】⑩「家庭と演劇の両立」について考えようーパショナリーアパショナーリア特別鼎談も!―
祝日がないことと雨が降ることでお馴染みの6月ですが、私は6月生まれなのでそう嫌いでもありません!誕生日はどこに行くか、それはもう毎年決まっていて、劇場と銭湯とお好み焼き屋さんです。お好み焼き以外はできたら一人で行けたらと思いつつ、そうもいかない。我が家には子が二人いるので、日々はもはや「そうもいかない」の連続。だけど、「そうもいかない」をどうにか「これならできるかも」に近づけ、「こうしていきたい」を描き続けること。それが私にとっての生活であり、演劇であったりもします。 今回は
今を生きるアーティストに問う、国立西洋美術館で史上初の現代美術展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」
3月12日より、国立西洋美術館にて開催中の「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?――国立西洋美術館65年目の自問現代美術家たちへの問いかけ」。20世紀半ばまでの西洋美術品を所蔵・公開してきた美術館にとって史上初となる、現代美術の企画展です! 西洋美術全般を対象とする、日本で唯一の国立美術館でありながら、設立の背景からは”アーティストのために建った美術館”とも言える国立西洋美術館。先日のおちらしさんWEBでは、その歴史的背景をご紹介しました。 未来ある日
丘田ミイ子の【ここでしか書けない、演劇のお話】④ゲストインタビュー折田侑駿×髭野純『演劇と映画をもっとボーダレスに語ろう!』前編
みなさん、こんにちは。世は演劇祭や映画祭も目白押しの“芸術の秋”シーズンに突入! 私は演劇祭にはまだ行けていないのですが、先日子どもと一緒に下北沢映画祭に行ってきました。と……演劇についてお話する連載で、今回こんな風に映画の話題から始めているのには訳があります! 今回のテーマはズバリ、『演劇と映画をもっとボーダレスに語ろう!』。 作り手が映像と演劇を横断して活躍しているのに対して、その書き手や観客にはやや棲み分け感が強く、いち当事者としてももどかしさを感じているのが正直な私