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小学校の先生になるまで。学生時代④

東南アジアから帰国して、もぬけの殻のような怠惰な生活になってしまった。卒論も勉強もやる気がしない日々。刺激が強過ぎて、日常が物足りなくなっていった。


そんな中、突然学部長に呼び出された。
前回に続き今度は何だと思いながら、教授の所に向かうと「教育学入門」という授業で新入生に向けて1コマ話してほしいと打診があった。

以前、沖縄旅の際に「あなたにとって良い教師とは何ですか?」と出会った人たちに聞いて、その人たちとスケッチブックに書いた回答を写真に撮ったものを学内に展示していた。それを見たそうで声をかけていただいた。

自分の心の声に耳を傾ける @講堂

定かではないが、広い講堂に新入生200人以上いた気がする。
自分が経験してきた中から学んだことを大学生活が始まったばかりの新入生に、何かのきっかけになってもらえばと話をした。

主に沖縄や東南アジア旅の話に紐づいて話したが、別に旅じゃなくても自分がやってみたいと思ったことはやった方が良い。自分自身、初めて旅に出る前は色々と理由をつけて諦めようとしたけど、やってみたらなんてことはなかった。

人は、何か新しいことを始めようとすると不安になる。生き物として環境の変化は負荷がかかるし、毎日を普通に生きれるならそれに越したことはない。しかし、一歩踏み出してチャレンジすれば、視界がひらけることを自身が体験したので、自分のやりたいって気持ちを大切に、チャレンジしてほしいと伝えた。


私も含め、目の前にいる学生たちも少なくとも大学に入学できて、人として最低限度な暮らしは確保できているはずなので、自分のやりたいことをできる環境にいると思う。

東南アジアで見た人たちのようにその日の暮らしを成り立たせるのに精一杯な人たちではないはずで、先進国にいる与えられた環境を活かして、自分の心の声に従ってチャレンジする機会がある。

生きていく上で安定していればそれに越したことがないが、自分の心の声に素直にならないで誰の人生を生きるのか。自分という映画の主人公は自分でしょう。おじさんおばさんになってから、あん時こうすれば良かったとか愚痴を言いながら、酒を飲むような歳の取り方はしたくなかった。


このまま先生になっていいのか、俺

長期休みが明けて、学内で何人かの知らない人たちに声を掛けられた。
話を聞いてみると、私の話を聞いていた人たちだった。「絵を本格的に書く事にしました!」「海外に行ってきました!」「自転車で京都まで行きました!」「ボランティアに参加してきました!」など、各々やりたいことにチャレンジしていたそうだ。

わざわざ直接言ってきてくれて、自分の話が人のきっかけになってくれて良かったと心底思った。また同時に、経験から出た言葉は人の心を揺さぶるんだなと改めて実感した。


そこで、ある一つの疑問が出た。

「大学卒業後、そのまま教員になって何を教えることが出来るんだろう。」

この疑問が、しばらく頭の中から離れなかった。
世界で何が起きているのか、日本列島の海の向こう側をもっと見たかった。
そして、旅ではなく海外に住むことで、もっと現地の生活に踏み込んで海外の文化を体験したい。

しかし、語学留学にしろワーキングホリデーにしろ外国に住むにはある程度まとまったお金も貯めなきゃいけない。その為に、1年バイトしてお金を貯めるのも何か違うと思い、友達に相談したら、外務省が所管するJICA(独立行政法人国際協力機構)の青年海外協力隊という制度があることを知った。


早速、資料請求をかけた。

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