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ダイバーシティ、訓練所生活

大学卒業後、訓練所に入るまでの間、産休代替教諭として小学校で時間講師として体育と算数を教えながら、7月からの海外派遣前訓練開始を待った。
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青春とは、心の若さである。

青春の時は、人は恐れずに何事にもチャレンジする。まさにそんな青春真っ盛りな人たちがここの訓練所に集まっている。

青年海外協力隊として任国に出発する前に、長野県駒ヶ根市にある訓練所で同期180名と共に2カ月間泊まり込みで訓練する。

参加者の年齢は、20歳〜70歳までと幅広く様々な考えをもった人がいた。大学を卒業して、初めて出会う大人達は個性溢れていて刺激的だった。新卒は少なく、ほとんどが社会人経験者だったので、皆んな先輩だけどフラットに話ができたので色々なことが聞けた。

中小企業の社長を務めた後、70歳で参加している人や60歳を過ぎて奥さんを連れて発展途上国で生活しようとしている人など、パワフルな人が多かった。皆、歳の割に生き生きしていて少年の心を忘れてないみたいだ。

国旗の意味

毎朝の朝礼では、日毎に世界各国の国旗を掲揚し、その国の国歌が流れた。国旗の由来なども説明していて、色やデザインに意味がそれぞれあって興味深かった。

特にアフリカ大陸の国旗の中には、独立の際に流れた血や太陽を表す赤を使っていた。宗主国から独立するために闘い死んでいった先人たちの上に国が成り立っていることを考えると、国に対する考え方も各国違うと思う。

植民地から勝ち取った自分たちの国という意識が強いはずだ。私は、戦争に負けて原爆を落とされて、戦争はよくないということは学校で教わったが、先人たちが外国から日本を守ってくれたから今の日本があるとは教えられていない。

後にバングラデシュに住むようになって、自国に興味をもって学ぶようになったから、今は先人たちに感謝している。

なんてことを思いながら、朝のラジオ体操をしていたこともある。


国際理解とベンガル語。

訓練内容は、主に語学を中心に国際情勢、宗教や文化、安全管理など、海外で現地の人と活動する上で必要な国際的な教養を身に着ける。海外で活動する上で、トラブルに巻き込まれずにスムーズに活動する為に学んだことが、その後の海外生活にも役に立った。

飛行機やバスなどの移動時の際に、統計的に見て事故の際にリスクの低い座席の場所やトラブル時の対処方法など実践的に使えることも学べた。今でも海外に行く際には気を付けている。

協力隊員で事件事故に巻き込まれる時間帯は、夜間が多いというのは統計が出ている。レイプに遭った人も夜間に出歩いている時に、遭遇する確率が高いというのも耳に挟んだことがある。

南米の隊員は、日中に繁華街で現地人と6人で歩いていても強盗に遭ったというから、場所によって気は抜けないということだ。他国の状況を見て、いかに日本が安全な国で安定しているということに気付かされる。


語学は、馴染みのない言語を学ぶのは難しかったが、ベンガル語講師の先生が丁寧に教えてくれた。日本語と同じ語順だったので比較的学びやすいと思ったが、馴染みない文字には苦戦した。

ロールプレイや遊びながら覚えた単語の方が今でも覚えているから、楽しみながら言語を使える状況が覚えるには最適かなと思った。小学生の英語教育もそのような活動があるということは理にかなっている。

しかし、小学生は英語を覚えても使う場面がほとんどない。授業以外で言語を使う頻度を増やさないと覚えない、そして、使わないと話せるようにならない。

私も例外にもれず、2ヶ月で話せるようになるわけもなく、現地に行ってから人々と交流していく中で覚えていった。ここでは、その最低限の基礎は学べたと思う。

平日は、門限もありほとんど外出するヒマはなかったので、休日は外出が許されていたので自転車で自然豊かな駒ヶ根市をのんびり回ったり、地元のお祭りや花火大会に行ってリフレッシュした。また、訪れたい素敵な町だ。


日本代表になれるの?俺も?

訓練も終わりを迎える頃に、任国に派遣される前に東京の御所に行き皇太子様と接見する機会があった。初めての御所の中をキョロキョロしながら、土足でフカフカな絨毯の上に立っていたので興奮しながら、皇太子様を待っていた。皇太子様は各国ごとの代表とお話しされていて、ついにバングラデシュの番になった。私はバングラデシュの代表でもないが、お話をしてみたかったので代表にしてもらい皇太子様の質問に答えた。目の前で拝見すると、一般の人がもつ空気感とは違い、穏やかでピースな感じが漂っていた。

改めて、日本の代表として発展途上国で活動してくるんだなと身が引き締まった。現地の人からすれば、初めて会う日本人が「日本」という国のイメージになるので、その気持ちを忘れずに活動していきこうと思える機会だった。


訓練を終え、出発まで残り2週間もない。
その間に自分の住んでいる場所の県知事や市長に表敬訪問をしに行ったり、住民票を海外に移したり、ドタバタだった。病院にも行って予防注射を3〜4本打った。

また、色々な仲間が盛大な壮行会を開いてくれて感謝しかなかった。帰国後に一人一人感謝の気持ちを伝えるべきだったが、何も恩返しできていなかった。

今まで過去を振り返ることなく進んできて、その当時の周りにいた人へ感謝を伝えられずにきたので、こうやってnoteで振り返りながら自分が経験してきたものを発信することで自分なりの感謝の形に変えていきたい。



いよいよバングラデシュに出発する日が来た。

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