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コミュニティイベントで"何をして良いか分からなかった。もっと参加者に配慮すべき"という運営批判に対するアンサー

コミュニティイベント(ゲーマーコミュニティフェス)を開いたあとに、必ず終了後アンケートを取るようにしている。アンケートで開催を振り返ることでイベントの内容をアップデートしてよりよいものにしたいと思っているからだ。

出来事には必ず良い点もあれば悪い点もある。誰かが楽しんだということは、誰かが悲しんだ可能性もある。もし批判的なアンケート結果を得られていないのであればそれはイベントが100%成功したのではなく、アンケートの取り方を失敗していると思っている。

アンケートの回答にはイベントを称賛する意見、感想または問題提起や改善の提案などがある。アンケートは匿名のオンライン質問紙だ。自分の時間を使って答えてくれることに感謝している。その中でも数名からこういう回答を受け取ることがある。

イベントの中で何をすれば良いか分からなかった運営はもっと私達ひとりひとりが楽しめるように考えるべきだ

これが5段階で最低評価とともに書かれている。

最初にこれを受け取った時に私個人としては、コミュニティイベントは場所代をみんなで折半して後は各々"やりたいことをする"ようなイメージだったからとても意外な回答だった。ただ数回開催しても何名かはこのような回答をくれるので一定数はある意見なんだなと思った。

コミュフェスLoLを例にあげると、会場にLoLをプレイできるPCがあって、LoL好き80名が居てこの上ないほどLoLフレンドリーな環境がセットアップされている。

これだけで十分だと思っていたが、あまりにも旗振りが無いと0からイベントをゴールに導くのは難しいので、運営でチーム組を決めて対戦表を作ったり、全体の流れをなんとなく設定するようにした。
(これがコミュフェスの企画マッチを指している)

本当は時間と場所と設備を用意したので好き勝手に遊んで欲しい気持ちだ。

また、そういった仕組みを入れた上でも
「何していいかわからない」という意見はある。

このことをずっと考えていた時期があったが、多分こういうことなんだろうなという答えや原因みたいなものを見つけた。

それは"昨今の公式のeスポーツイベントに慣れていること"に原因があるなということだ。

ゲーム会社が丁寧にイベントを用意してくれており、お金を払ってイベントに参加すると無条件で楽しくなって帰路に着くことができるという体験があるからなのではないかと思う。

こういうイベントは参加者が観戦することへの比重が大きく、観るが受動的な行為なのかは置いておいて、観ているだけで楽しめる。

それに対して、コミュニティイベントは非営利なので参加者を"お客"のようにもてなすことは考えていない。みんなで募ったお金で楽しいことしようぜという気持ちだ。

「何をしたら良いかわからない」ではなく"何をしたいか主張する場"だと思っている。テーマパークでさえ、自分で乗り物を決める。

僕らはイベントでできることを事前に開示してるし、Discordに質問できるチャンネルもある。

そして、ちょっと話の幅が広がってしまうがこう思っている。
人間として自分の選択した人生を歩んだほうが楽しい。他人に選んでもらうのは楽かも知れないが、自分で選んだほうが楽しい。

そしてこの文章は「何していいか分からない」と感じる人を置き去りにするためのものではない。むしろ逆。

僕たちだってイベント開催のために「何すべきか」が分からなかった。いまでも分かっていない。

「何をすべきか分からない(から教えて)」これこそまさに現代において生殺与奪の権を他人に握らせている状態に思う。

せっかくのコミュニティイベント。ゲームを使ってほとんど自由になんでもできる環境を用意してるつもりだ。

コミュフェスLoLのときに、フリープレイエリアを使ってTFTをプレイする人が何名か現れた。誰に指示されるわけでも無く止められるわけでもなく。また周りに声をかけて即席のチームを組んで遊ぶ者もいた。

フリープレイに僕が求めているものは、このように参加者が"その場で遊びを生み出す"ことにある。もしすべてのイベントプログラムが決まっていたら、それは運営の頭だけで考えたイベント。

私達はそんな高尚な存在じゃない。もっと楽しいことを思いつく人がいると思っている。

そういう余白として設けている。

また、こういう具体的な困り事もアンケート回答にある。「コスプレ参加者さんに声をかけにくかった。運営どうにかしてくれ。」

これについてはイベントの中の問題だけじゃないと思っている。

自分が好意を寄せてる人に近づくには、少し勇気がいる。それって非常に人間らしい悩みだと思うし、そこで自分で声掛けできるようになることが人としての成長ですらあると思っている。

こんな気持ちになるって普段生きていてそうあるか?いや無い。卒業式に憧れの先輩に声掛けするような感覚。そう青春。茶化してるわけでは無い。

コミュフェスは青春。

青春は取り戻すのが難しい。

そう思うとアンケートのタイミングでは、手遅れになっている可能性がある。つまりこうした不満をアンケートに書くほど困っていたのであれば、イベント中に助けを求めてほしい。

これがアンケートへの最も端的なアンサーだ。

根底には「自分が言っても変わらない」かもという思いがあるかも知れ無い。企業が用意したイベントであればそうだろう。だがここはコミュニティイベントだ。会場にはスタッフがいたり、僕も会場でみんなが楽しめているかを気にして過ごしている。

「何をしたらいいか分からない」

この一言をスタッフに話してくれ、あなたが楽しむための一歩を踏み出せるように全力でサポートする。

もちろん、こんなイベントの意義を知らなくても参加して欲しい。イベント観覧に慣れた身体から自主性を取り戻して、自分たちで楽しめる機会も作っていけたらゲームを中心とした楽しみの幅が広がると思う。


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