ソングライターからシンガーへ
俺は歌えないから。
表現したいことはたくさんある。歌になりたがってることだって、世の中にあふれてる。だから俺は曲を書くよ。俺なんかにも才能があるとすれば、間違いなく、曲を書く才能だろう
でも俺は歌えない。歌えないんだ。シンガーソングライターにはなれない。でも、曲を作ることはできるんだ。だからソングライターにはなれる。言いたいことや伝えたいことや描きたい風景、作曲のタネは枯渇することがない。ただ、俺はソングライター。俺の中にシンガーは不在だ。
シンガーは、メディアだ。この身体で、いろんな曲を、自分ナイズして、歌い表現する。そう、お前もな。いろんな曲を介在させているメディアなんだ。
いつも俺の曲を歌ってくれるお前は、マジでサイコーだ。音程の良さはもちろんのこと、俺の曲の、いちばん伝えたい部分や、細かいニュアンス、天才的にすべて読み解いて、骨太で美しい歌声に変える。
俺は、お前になりたいよ。
曲なんか書けなくていい。だって、曲を書ける奴なんてこの世にどれだけいると思ってる?俺の代わりなんて掃いて捨てるほどいる。
お前の表現力と、何よりその歌声。
しかも、なんであんなに楽しそうに歌うんだよ。それじゃまるで、
俺はお前になりたい。
なあ、そのこえで、そのからだで、俺の曲を歌えたら、ステージからどんな景色が見えるんだ?
俺の曲はお前を少しでも幸せにできているか?
俺はお前になりたいよ。
俺は歌えないから。
だから書くよ。ずっとずっとかくよ。いつかお前が歌わなくなってもずっとお前のために曲を書くよ。
だって、
俺は歌えないから。
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