#猫を棄てる 感想文
コロナ自粛生活の中で発売されたこの本を
このタイミングを、ありがたい気持ちで
なんだかすがるような気持ちで読みはじめた。
春樹さんがおっしゃっていた
静かなものに という想いは
そのまま、ほんとうに静かな文章として あった。
不安な通勤の間も
疲れきった休憩時間も、
少しずつ 静かだな
なんて静かな、、
と感じながら読み進めた。
私にとっては、はじめて読む
リアルで悲惨な戦争の記録 でもあった。
そして 文章を追いながら
私も 運命 について想いをめぐらす。
僭越ながら、、(正しい表現が見つからない、、 )
私も、自分の運命に関わったのでは
という出来事に遭遇したことがある。
(私の場合は平和な日常の中からで
やっぱり僭越な気持ちになりますが、、)
私の父は教師をしていて、
母は父が居た学校に非常勤講師として
赴任してきた。
父の友人である美術教師の方の個展におじゃましたとき
「きみのお父さんとお母さんの仲を取り持ったのは僕やで」
と言われ、とても不思議な気持ちになった。
母は父からアプローチをかけられた
というような事を言うが
父の性格上どうやって、、という謎が溶け
だけど足元に穴が空いたみたいな
不思議な、ちょっと不気味な気持ちになったのだ。
春樹さんが、「自分自身が透明になっていくような」と書かれていて、やっぱり自分の出生に関わる出来事を知ると、そうなるものなんだ と
なんというか、トンネルが繋がったような気持ちになった。
また、私事ですが、コロナ自粛生活の中で
昔の恋人と連絡のやりとりを再開する、という出来事もあった。
彼とは私の出生地の関係で結婚する事が出来なかったが、お互いまだ独身だった。
良い方へ、、どうなるか、、そんな風に考えながらも
「猫を棄てる」の世界へ入ると
私が身をひけば、彼と誰か との間に新しい命、そんな事もありえるんだな
私 が彼の物語では、脇役の登場人物かもしれない
そんな風に考え、良い方に冷静に、落ち着けるようになった。
春樹さんが昨日のラジオでもおっしゃっていたように 私も もがきながら生きていきたいです。
「偶然がたまたま生んだ」命がこんなに楽しいなら
少々不運でも、もがいて人間味を抱えて生きたい。
読み終えて静かに、沸々とそう思った。
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