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アメリカ臨床留学についてーマッチングの話

日本からのアメリカ臨床留学というのは、これまでも何人もの先人たちがいて、そういうたぐいの情報はネットや本に溢れている。どうしたら行けますかって、時々相談を受けるのだけど、結局その先人たちが言うのと同じで、王道はUSMLEという試験をとにかく高得点で通過すること。それに尽きる。

1)USMLEについて
絶対にしてはいけないのは、努力を続けるのがしんどくなったからと言って、中途半端な準備段階で試験を受けてしまうこと。僕自身、日本の初期研修中に受けてしんどかったから、辛くなってくるのはすごくわかるけど、ダメ絶対。悪い点数を一度取ってしまうと、やり直しは効かない。ちなみに、何点くらいとればいいかは、ネットでのマッチングの公式サイトを見れば書いてある。

もちろん、今後はStep1がPass or Failしか結果ださなくなるということだし、CKの点数がもっと平均上がるだろうし、これからは大事になるんだろうなあとは思う。

Main Residency Match Data and Reports - The Match, National Resident Matching Program (nrmp.org)より

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とはいえ、このデータ見れば、どの科に行きたいなら何点だといい、悪いが分かると思う。これはあくまで必要条件だけど、IMGと呼ばれる、外国の大学出身者が面接に呼ばれるのは、そういう良い点数を取った人。呼ぶ基準はプログラムごとに異なっているから、一概には言えないけど。ただ、悪い点の人は、自分のプログラムに入ってからちゃんと勉強するのかとか、Board(専門医試験)にちゃんと通るのか、他のレジデントの足を引っ張るんじゃないかとかの懸念は生じる。もちろん、大学での成績が全部Aだったりしたら、それを面接に呼ばれたときなんかにアピールできるかもしれないけど。
だから大学は勉強しないっていうノリの学生、僕の時代は多かったけど、ホント、勉強は真面目にしたほうがいい。もちろん、本を読んだり、旅をして人に会ったり、仕事やバイトに頑張ったりも大事だと思うから、全部全力でやったもん勝ちだと思う。(学生の時の過ごし方についてはまた別の機会に書きたいと思う)

2)面接について
少し話が逸れてしまったけど、面接は色々なコツみたいなのがあると思う。チーフレジデントをさせてもらったときに、面接官の立場も経験したけど、英語の質どうこうよりも、しっかりと地に足がついた話ができる人が強い印象があった(まあこれも誰が面接するかによるんだけど)。

OKを出せる英語の質の基準は、その人から夜中に電話がかかってきても、寝ぼけた頭で理解できる英語ということになっていた(笑)。

面接で話す内容で、僕が時々アドバイスするのは、自分のストーリーを語ることを大切にしたほうがいいということ。もちろん、小学校や中学校の話なんかからする必要はないけど、なぜ医師になったのか、今は何をしているのか、なぜ神経内科医になりたいのか、そして将来は何をしたいのか。ここでいう将来とは、レジデントになったら、レジデントを終わったあと、そして10年後の自分という意味。当たり前の内容なんだけど、これがどれだけ考え込まれているのか、強いものなのか、この辺りは結構大事だと思う。自分の実体験なんかを混ぜながら。

ちゃんと自分のやりたいこと、なんでレジデントをしているかを分かっている人がレジデントとして輝くと思う。

僕はレジデントのインタビュー、アメリカにいるときに受けたから、それほど日程に苦労はしなかったけど、複数のインタビューをはしごすることになると海外からだと結構厳しい。Magic numberと呼ばれるいくつ呼ばれるとマッチしやすいというのもあって、それを見ながら決めている人もいた。Magic numberもネットで探せばさっと出てくる。

2021年のマッチはVirtual だったから、インタビューに呼ぶ数の人が例年よりも多かったので、このMagic numberは例年とは変わるだろうけど。

3) リサーチの経験について

今年は、Virtualのインタビューになったので様子が少し変わっているのだけど、僕の印象ではリサーチに限らず何らかの米国経験の有無は大事だと思う。下のデータを見ればわかると思うんだけど、長いことリサーチをやったからと言って強みになるわけではない。逆に、あまりにリサーチの期間が長くて臨床から離れていることを不安視するプログラムディレクターも見たことがある。次に書く推薦状に関連するけど、コネクションを得るという意味ではいいと思うけど。あと、そのリサーチが将来やりたいことにつながっていくのだったら、確実に面接のときに活きると思う。多分、やるとしても1-2年くらいがいいんじゃないかと。

これもよく聞かれるけど、どうやってリサーチのポジションを見つけるのかという話。無給でいいならコロナ前はいくらでも本気で探せばあった。ひたすら、いろんな人にメールを送りまくって返事を待つっていうのが良く他の国の人たちがやっている方法。もちろん、コネクションを使ってというのもありだけど。個人的には無給でリサーチはどうかなあと思ってしまう部分がある。。

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4)推薦状について
これも時々相談を受けるのだけど、誰に書いてもらったらいいかということ。やっぱり、日本人の医師からだけだとちょっと弱いかも。というのは、システムや文化が異なる場所での成功がそのまま新しい場所での成功を意味するわけではないから。当然だけど、アメリカのレジデンシーがどのようなものかをよく知った人が、推薦状を書いたほうが説得力がある。そういう意味では、日本人医師でアメリカでトレーニングを積んだ人だと話は違うと思うけど。
どういう推薦状が強いかというのもまた色々ある。正直、ビッグネームの先生からの推薦状は確かにいいんだけど、ほとんどの候補者はそういう人からもらってる。だから、その人がめちゃくちゃ強く推薦してくれて、さらに電話とかもかけてくれたら別だけど、そうでもなかったら違いは生まないかも。

それよりも、Program Directorの親友だとか、同僚、元同期とかからの推薦の方がよっぽど強いと思う。

ただ、大事なことは推薦状がいくら良くても、USMLEの点数が低ければ微妙だし、英語が悪ければ何ともならないこと。。



また何か思いついたら書き足そうと思う。

今の時点での結論は、マッチングの成功率を上げる方法は

1)USMLEの点数を本気で忍耐強く上げる

2) 何らかの米国経験を付けておく。1-2年くらい。多分海軍病院とかでもいいかも。(推薦状のため+米国経験があると取るほうも安心)

3)英語を(相手にとって)ストレスなく会話できるようにする

4) 面接は自分のストーリーを語れるようにする

というとこかなあ。

これって特に目新しいことじゃないけど、当たり前のことをハイレベルできることが大事ということかなあ。

上にリンクを貼ったこのサイトを使うと、自分がもし過去のマッチングに出していたらどれくらいの可能性でマッチしてたかとかわかるから、感覚をつかむのにいい気がする。

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