見出し画像

私が「静東エリアは車なしでも問題なく暮らせる町が多い」と声高に叫ぶ理由②

こんにちは、Sage/セージです。
今回は、私が「静東エリアは車なしでも問題なく暮らせる町が多い」ということをなぜ声高に叫んでいるのか、についてお話しします。

本題に入る前に、まずは私が2019年秋東京新宿区から移住した静岡県沼津市について解説しときましょう。
静岡の土地勘のない方だと、たぶん「どこなんだよソレ?」となってしまうでしょうから。
東京の方でも分かりやすい大雑把な言い方をするなら、沼津市は「箱根八里を越えた先にある静岡県三島市の隣」という感じ。

沼津宿

東京からの直線距離は「99.4km」で、道路の長さで言うと「122.2 km」千代田区からスタートした国道246号線(都心では「青山通り」の名で知られてる幹線道路ね)のゴール地点でもあります。
メイン駅である「JR沼津駅」まで都心から公共交通で来る場合、運賃を安くあげたい方には「小田急線+JR東海道線」が、時間に余裕があって旅気分を味わいたい方には「小田急線+JR御殿場線」が、楽に来たい方なら「JR東海道線(上野東京ライン)オンリー」がオススメです。
あ、「バスタ新宿」なんかから長距離バスも出てますので、それを使う手もありますね。

公共交通での最短到達時間「東京~沼津直通・上野東京ライン」「125分」なんですが、直通電車は限られた時間帯にしか走っていないのでご注意ください。
2020年9月時点のダイヤで言えば、
【東京駅発、沼津駅直通電車】
15:27、16:27、17:47、19:17、20:02、21:24、22:22
【沼津駅発、東京方面直通電車】
05:52、06:05、06:35、07:00、07:32、18:08、19:03、20:38

となります。
上記以外の時間帯だと、上りでも下りでも熱海でいったん降りて乗り換えをする必要が生じてチト面倒。

熱海駅

直通電車以外のルートだと乗り換え待ちの時間がプラスされますが(御殿場線は東海道線からいったん離脱して富士山に近づいてく路線なんで更に長くかかります)、まぁ「2時間チョイ」とお考えください。
じつはこの「2時間チョイ」というのが「Withコロナ時代の日本における重要ワード」なんですよ。

昨今のコロナ禍で「どこへ行っても密を避けられない都心が窮屈になった」あるいは「テレワークで働けるようになったので家賃の高い都心にい続ける必要がなくなった」という東京民が急増し、目下、脱東京の気運とニーズが大幅に高まっています。
移住検討者たちが「新たな居場所」として注目しているのが「都心と在来線利用で2時間チョイの東京近郊ローカル」なんです。

「テレワーカーになった」と言っても「完全フリーダムな身分の人」というのはごく限られていて、ほとんどの人には「週に1~2回」とか「月に数回」くらいの出社義務が課せられています。
そんな「東京に住まなくてもよくはなったが、極端に遠い場所に引っ越すわけにはいかない人」にうってつけなのが「都心と在来線利用で2時間チョイの東京近郊ローカル」なんですよ。

「1時間チョイ」程度ではまだまだ近すぎて周辺の状況も住居費もそんなに変わらないでしょうが、さすがに「2時間チョイ」まで離れれば生活環境も生活コストも大幅に違ってきます。
これまで夢だとあきらめていた「仕事前に海辺を散歩」とか「ランチタイムに林間散策」なんて優雅な暮らし方も可能となるのです。
ちなみに私の散歩コースには「静かな海岸」とか「松林の散策路」なんかがあって、気候の良い時期にはコーヒーをポットに入れて持参し、海を見ながら飲んだりしています。

原の海

世の中のそうした変化を受け、たくさんの「2時間チョイ圏ローカル」東京流出民を獲得すべく「オンライン移住相談会」などを開催しだしました。
脱東京を前向きに検討している人はまずネットなどで情報収集し、「ここは自分に合いそうだ」と目星をつけた自治体の相談会に参加するわけですが……嗚呼なんということでしょう! その際にこんなことを言ってしまう担当者がいるんです。
「車がないとここでは暮らせないし、免許がないと仕事もできませんよ」
この台詞、車社会自治体でずっと当たり前のように口にされてきた(というか現在もされている)フレーズなんですが、私に言わせれば「東京からの移住者を募る際には絶対的な禁句」です。

「魅力的な移住候補地」というのはあちこちに腐るほどあるわけですから「強者」はあくまで「移住者」の側。
マイナス要因が目立つような自治体は、彼ら彼女らの候補地リストから真っ先に抹消されてしまいます。
そんな熾烈な獲得競争下において「車がないとここでは暮らせないし、免許がないと仕事もできませんよ」なんて高飛車な言葉(言った側は「当たり前の話」という感覚なんでしょうが、言われた側は「なんだそのエラソーな態度は!」となります)をぶつけてしまったらどうなるでしょう?
「わかりました! じゃあ頑張って免許取ります。車持ちます」なんて反応が返ってくるだろうと、もしも本気で思ってるのだとしたら、その担当者は今後一切「移住誘致政策」には関わらないことをお勧めします。

前述の問いの正解は「あ、そ。じゃあオメーんトコには行かねーわ、と内心で毒づかれて交渉決裂」です。
いや、内心で毒づかれるだけならまだマシで、相談会参加者だって暇を持て余してるわけじゃないので、「……ったく、無駄な時間取らせやがって。だったらHPのトップに『転入希望者は要普免。こちらは車がないと生きられない土地です』ってハッキリ書いとけよ!」激怒される可能性だって十分ある。
その結果「○○市の移住相談会の対応はひどかった!」とか周囲に言いふらされでもしたら、その自治体は「税金使って自身のネガティブキャンペーンを張った」ことになってしまいます。

私の移り住んだ沼津も時流に乗ってオンライン移住相談会をやっていますが、私の場合は独自リサーチしかしなかったので、市がどのような対応をしているのかは分かりません。
ただ、前回言いましたように静岡県は昔から車社会なので「車がないとここでは暮らせないし、免許がないと仕事もできませんよ」という禁句を無自覚に口にしてしまう可能性が「絶対にない」とは言いきれない。
私はそれを非常に恐れているんです。

悩む猫

やはり前回話したことですが、「静岡東部をストレンジャー(=よそ者)のパワーで『東京以上に刺激的で面白い場所』に変えていく」というのをコンセプトとするチーム「静東ストレンジャー」を私は主宰しています。
「この計画を成就させるには、東京から『刺激的で面白い遊びを創造するのが大好きな人種』を呼び寄せる必要がある」と考える私は目下そのために動いている最中なんですが、そうした人は「高い確率で無免許」なんです。

私の集めたい「刺激的で面白い遊びを創造するのが大好きな人種」とは「人生の大半を『夢をかなえる努力』に費やそうとするタイプ」なんですが、そういう人は良い意味で思考が偏っているものでして、「できうる限り『夢に関係ない努力』はしたくない」と考える傾向が強かったりする。

たとえば居住地が「だだっ広くて公共交通がほぼ機能していない超ド級の僻地」とかならば「生存必需ツール」として不承不承ながらも免許を取りもするでしょう。
けれども東京みたいに「駅から15分も歩くと別の駅に着いてしまう」ような交通至便地域に住んでいれば、「なければ死ぬとかいうわけでもないのに、なんで手間と暇と金をかけて免許なんか取る必要あるの? 免許取得にかけるだけの情熱とエネルギーと資力があるなら『夢をかなえる努力』の方に充てるよ」となるのが自然な流れというものです。

というか、本気で「夢の実現」を追及していけば「経済的に潤う可能性」は確実に落ちるので(夢と大金を結び付けられるような人なんかごく一握りです)、何十万も払って免許を取ったりできる余裕なんかはそもそもなかったりします。
そういう夢食い人たちを呼び寄せようと狙っているのに「車がないとここでは暮らせないし、免許がないと仕事もできませんよ」なんて言われてしまったら、私の計画はいつまで経っても結実しないわけです。

画像5

「東京に行きやすく、東京から来やすい。密にならずにくつろげる場所が身近にたくさんある。物価も家賃も安いので生活コストもグッと抑えられる。独自の文化がちゃんとあって、面白いことができる余地が多い。しかも、都会と大差なく『車なし・免許なし』でもちゃんと暮らせる」

これが私の打ち出そうとしている静東の新イメージ
これが浸透させられれば、静東エリアは他の「2時間チョイ圏ローカル」を抑えて「ブランド移住地」の仲間入りが果たせるのです。
なんたって静東エリアは「富士山」というキラーコンテンツ(?)を抱えているわけですからね、他の条件が拮抗している状態だったら大いに分があると言えるでしょう

そのために私は「車なし・免許なしでも楽しく暮らせてる静東移住民のモデルケース」になろうとしてるんですが、そうした努力を打ち砕いてしまうわけですよ「車がないとここでは暮らせないし、免許がないと仕事もできませんよ」というタブーワードは!

……と、またまた長く(かつ「熱く」)なってしまったので、今回はここまで。
次回は、私が情熱を傾けている「静東ストレンジャー」についてもうちょっと詳しく話させてもらいますね。

【この項つづく】

読者のみなさまからの温かいサポートを随時お待ちしております。いただいた分は今後の取材費として活用し、より充実した誌面作りに役立てていきます。