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BBTクローン再生計画(11)育ち盛り男子も大満足の昭和町中華のレジェンド麺

町中華が「グルメジャンルの一種」としてマスコミに利用されたり、B級グルメマニアを自称する面々のオモチャにされてしまうことに抵抗を覚える私はずっと「ああいうところは『料理の味』ではなくて『店の味』を楽しむものなんだ」と言い続けてきました。
「だから、味なんかフツーでいいんだ。店やご主人の味わいが濃厚ならば、それでいいんだよ」とも。

しかし、ごくわずかながら「絶品の味わいを誇る町中華」というのも存在します。
その一軒が、アラ還の私がまだ中学生の頃から通っていた静岡県藤枝市にある某店。
ここでのオーダーは「味噌チャーシュー麺」の一択で、これ以外を頼んだ記憶が私にはありません。

当時の私は育ち盛りのせいか、最高で白米5杯をおかわりしたことのある大食漢でしたが、そんなオバQみたいな小僧でも満足し得るボリュームだったんですよこの店のそれは!
麺の表面を埋め尽くす大量のチャーシューは1センチ近くありそうな分厚さで、おまけに味がバツグン!
塩味と甘味のバランスが絶妙な濃厚味噌スープに浸しておくと脂が溶けだしてきて、ただでさえ美味しいスープに更なる深みを加えます。
また、チャーシューのほうにも味噌スープの旨みが沁みて来て、こちらもまた美味しさが倍増!
これぞまさに味のWin-Win関係だぁ~!!!

家族で近所に行った時には必ず立ち寄っていたあの店も、私が高校を出て上京して以降はほとんど行くことはなくなりました。
しかし、あの味噌チャーシュー麺の味は今も脳裏にクッキリ刻まれていて、たまにものすごく食いたくなるのです。

5年ほど前、「さすがにもうやってないだろうな~」とダメモトでネット検索してみたら、なんとまだ営業中でビックリ!
「行くなら今のうちだ!」と40年近くぶりに訪ね、思い出のレジェンド麺を食ささせてもらいました。
行くまでは「昔はスープも一滴残さず飲み干してたけど、今じゃ無理だろうなぁ……」と思ってたんですけど、いざドンブリと向き合ったら簡単に完食・完飲しちゃいましたよ。
つうか、あまりに旨すぎて、スープを残して帰るなんて勿体ないことはできませなんだ。
ホントは健康上は良くないんでけどね、まぁ「この麺だけは例外」ってことで許してお医者さん。

グルメという概念そのものが嫌いな私ですが、そんな男でも魅了するようなステキな飲食店が昭和期には多かった……というのはノスタルジーに支配された思い込みなんでしょうかね?
失った夢だけが美しく見えるのは何故かしら?

画題「実食はドクターNGでも回想するだけなから構わないでしょ?」

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