【コロナ禍を追い風に】「今年はアブノーマル」でなく「今年からニューノーマル」
2019年の日本は「改元のお祭り気分に浮かれあがった」かと思ったら「大型台風の猛威に震えあがる」という「あがりっぱなしな国」でした(2月中旬~5月上旬まで入院しててシャバにいなかったんで、そんな印象しか残ってないんです)。
ところが年が明けるや新型コロナウイルスが「ジワジワ」と、しかし「ものすごい速度」で全国津々浦々にまで広がって、色んな所で色んなものが一気に「さがりまくって」しまいました。
2020年がこんな年になることを察知できてた人間なんて、おそらく誰もいないでしょう。
「いや、俺はしてた」とか言う人間がもしもいたとしても、真に受けてはいけませんよ。
感染拡大予防政策が急きょ取られる中でどでかいダメージを食らったのが「飲食店」で、中でも「ホール面積が大きい店」のこうむる痛手がすごくて、とりわけ「お酒を出す店」から耳をつんざくばかりの悲鳴が上がっています。
飲食店は「店内に顧客を一定時間滞在させる」ので三密状態が生じやすくて、しかもホール面積が大きい店は「店が広いぶん維持コスト(テナントの家賃や光熱費)が高く、従業員も大人数抱えているので人件費もかさむ」のです。
そして「お酒を出す店」は「お客が平常心をなくす可能性が高い」ので、店側が感染対策を最大限に頑張っていても「酔って正気を失くしたお客が対策努力を無にする」ような事態もおこりうる。
日頃はお堅い小市民オジサンなのに、酒が入るとオラオラ系のタチ悪ジジイに豹変しちゃうような人っているでしょ?
ああいうお客がどこかからウイルスを持ってきたりすると、一気にクラスター(感染者集団)が発生してしまう可能性があるのです。
最もリスキーであると言える「高家賃エリアの大規模酒場」のオーナーさんというのはいま本当にシンドイことでしょう。
緊急事態宣言が出された時点ですぐに「居酒屋」を「定食屋」にリニューアルした、なんてツワモノも中にはいるようですが、大半のオーナーさんはなかなかそこまでは割り切れないだろうと思います。
「数カ月も待てばワクチンが開発されて元の日常が戻って来るだろうから、それまではなんとしても耐え忍んで店を守ろう」
このように考えて「あとちょっとの辛抱だ……」と心の中で繰り返しながら耐え続けている方も多いかと思いますが、しかしそれは私には「洗面器に顔を浸けながら息を止めている」ような状態に見えます。
いつまでもそうやっているわけにはいかないですし、いつまでもそうやっていたら溺れてしまいます。
今回のコロナは、ハシカのように「一度かかれば免疫ができて再度かからない」といったものではない模様で、多くの人々が期待しているような劇的効果を発揮する「ワクチン」もできない可能性があるといいます(不適切なワクチンだと、かえって感染時に悪化するようなこともあるんだとか)。
専門薬(特効薬)の完成もいつになるか分からず、「予防する/治す」といった方面については、現時点では専門家ですら「予測が難しい」そうです。
それよりも私が心待ちにしてるのは「簡易検査キット」の開発。
精度はあまり高くなくてもいいので、リトマス試験紙みたいな使い勝手の良さで「唾液中のウイルスを感知できる」アイテムを作ってほしい。
朝起きた時に検査して、もし反応が出たら学校や仕事を休んで正規の検査を受ける、また、帰宅時に反応が出たら家には入らずに然るべき機関を訪ねる……こういうふうになれたらウイルスの封じ込めができて、感染拡大を水際で防げます。
あるいは入店時にサッと検査できるようになれば、飲食店だってむやみに休業しなくてよくなるわけです。
現状の何が嫌かって「いったん疑い出すと目の前の全員が感染者に見えてしまって気が休まらない」という疑心暗鬼状態、イマ風に言うなら「リアル人狼ゲーム」みたいになってるのが最も嫌なわけですよね?
でも簡易検査キットができれば、ある程度の判別がつくようになって「安心」が得られる。
これまでのように、周囲の人々をやみくもに警戒しなくてもよくなります。
世の中が今みたいな「人狼ゲーム世界」のままだとコミュニティが分断され、「近くの誰かを助ける/近くの誰かに救いを求める」といった相互扶助機能がマヒしてしまいます。
有効な治療法の確立はまだしばらく先になるにしても「唾液内に大量のウイルスが存在し、それが媒介となって感染が拡大する」というところまでは明らかになってるわけですから、治療薬開発と並行して簡易検査キットの開発も急いでほしいんです。
それができれば「社会全体を止める」のではなく「ハイリスクな部分だけをピンポイントで止める」だけで済むようになり、経済的な損失も最低限で抑えられます。
春先のロックダウンに近い状況を「全身麻酔」とするなら、こちらは「部分麻酔」くらいの感じですかね。
部分麻酔なら肉体的負担もあまりなく、払う犠牲も最小限で済みます。
このまま手をこまねいていたら4割の飲食店が遠からず潰れる、なんて悲観的な予想をしている専門家もいますが、「もう少し待っていればコロナ禍は収まる」という楽観論を捨て去れなければ本当にそうなるかもしれません。
メディアも政府も各自治体の首長たちも「今年は我慢しましょう」という論調での指示や情報発信をしていますが、これは適切な措置ではないと私は思っています。
「今年はアブノーマル(異常)な年」なのではなくて「今年はニューノーマル(新常識)のスタート年」とハッキリ言ってあげるのが本当の意味での「親切」なのであり、権威とされている人々が口を揃えてそう言えれば、私たち一般人だって腹が括れるのです。
「そうか、もう前のような世界には戻れないんだ。だったらスパッと頭を切り替えて、Withコロナ時代(コロナと共にある時代)に即した形にビジネス形態を変えよう」
先に紹介した「かなり早い時期に定食屋に転業した居酒屋」のオーナーというのは、すなわち「卓越した先見性でWithコロナ時代の到来を予見した」わけですが、やはりそんな人は稀有ですね。
内心で「……ヤバいんじゃないか?」という不安を抱いていても、それを事実と認めるのが怖いものだから「いやいや、きっと気のせいだろう」と不安感を誤魔化してしまう……こういう心の罠を「正常性バイアス」といいます。
私はこれにひっかかって脳梗塞の予兆を丸一日以上も放置し、結果的に病状をかなり悪化させてしまいました。
「このまま行ったら取り返しがつかないのでは……?」と内心では思っているのに「いや、じきにコロナは収まるだろう」という根拠のない救済論にすがって動けないでいる人たちも、やはり正常性バイアスに囚われているのです。
私たちのような凡人が正常性バイアスを打ち破るには「何らかの外圧」が必要で、それが加わらないと最終決断に至れない場合が多いのです。
現時点で必要な外圧とは、つまり、責任ある地位の人物からの「過去に執着せず、頭を切り替えてください!」という通達です。
日本人は「法(条例)で決まりました」と伝えられればブツクサ言いながらも順守する国民性なので、そうやってエライさんから背中を押されれば「……しゃーねーなー、ならそうするか」となる人が多いでしょう。
私はエライさんじゃないですが、あえて言わせていただきます。
今年「は」以前とは違う、のではなく、今年「から」以前とは違う、のです。
コロナ禍に負けることなく、むしろそれを「追い風」にして前よりも伸びるためには、この「割り切り」をすることがとにかく重要!
Withコロナの時代は「動けない/変われない」人には辛いものとなりますが、「動ける/変われる」人にとっては「平時ならば不可能な〈下剋上〉も知恵を使えば十分可能なチャンスの時代」となります。
これをお読みの皆さんは、こういうふうにポジティブに考えて「動いて/変わって」ください。
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