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セージの耳打ち#148 人生初の長距離歩き

今でこそ「プロ散歩師」を名乗ってる私ですが、べつに生まれた時からウォーキングしてるわけではありません。
私が初めて長距離歩きをしたのはハタチの頃。
御茶ノ水の学校から荻窪のアパートに帰ろうとした時、財布の中に70円くらいしか入ってないことに気が付きました。
定期はすでに期限が切れており、金を借りられそうな友達はみんな帰ってしまっていたので、そのときの私には「歩いて帰る」という方法しか残されていませんでした。

東京の土地勘のない方だとわかりにくいでしょうが、「御茶ノ水」と「荻窪」の間には、快速でも5駅、各駅停車なら13駅もあって、なかなかの距離なんですよ。
フツーならガックリきてしまうところでしょうが、しかしビンボー耐性がもともとあった私は全然メゲませんでした。
とりあえず全財産をはたいてキャラメルを買い、それでエネルギーチャージをしながら歩き出したんです。

歩いて抜ける東京中心部は私の目には新鮮に映り、なかなか面白いものでしたよ。
途中、中野警察署の前を通り過ぎるとき、なぜか建物前に人だかりができていて、「なんだアレは?」と訝しんだのをよく憶えています。
それがショーケン(萩原健一)の起こしたゴタゴタに集まった芸能リポーターの群れだったと知ったのは、翌日に観たワイドショーででした。

これ以来私は、持ってる定期の範囲外に行くときは必ず歩くようになり、それが今に繋がってるわけです。
長く歩くことも金がないことも「ツライ」とは感じない・・・そんなメンタルを持てているのが私の最大の強みだと思います。いや、強がりじゃなくて。


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