見出し画像

勝手に「コンパクトシティ」創ります①半径は「徒歩30分の距離」と決めたよ!

「コンパクトシティ」という言葉を知っていますか?
読んで字のごとく「小さくまとまった(=コンパクト)街(=シティ)」のことを言いますが、それは「行政」にも「住民」にも大きなメリットのある「未来型都市構成スタイル」なんです。

行政にとってのメリットは、何といっても「都市インフラ整備費の節約」
これは単純計算ですが、たとえば「半径10km」の街が「半径5km」にコンパクト化できれば「都市インフラの維持管理費」がそれまでの「半分」で済むようになります。

「少子化による人口減」というのが避けようのない21世紀の日本では「都市インフラの維持管理費が確保できなくなる」というのが重要問題となります。
コロナの影響で「転出者数が転入者数を初めて上回った」と言われている東京ですが、それでも「日本一のマンモス都市」なのが変わるわけではなく、「自粛要請店への休業補償で内部留保が枯渇した」と言ったところで「税収の潤沢さ」は不動。
腐っても「首都」ですから、何だかんだ言ったところで「インフラは維持され続ける」でしょう(もっとも「老朽化のペースに修復が追いつくかどうかは不明」ですが……)。

けれども「元からたいした人口じゃないローカル」の場合は、東京みたいにはいきません。
ただでさえ心もとない財政が人口減によってますます逼迫するのは「火を見るよりも明らか」です。

地元に魅力がなければ「若者の流出」は止まらず、「高齢化率」は高まる一方。
残された高齢者だっていつまでも元気なわけじゃないので、当然ながら人口は減っていく。
人口が減れば税収も減り、税収が減ればインフラ保守に使える予算も減るばかり。
予算が減ればインフラが老朽化して破損しても満足な修理ができなくなる……という悪循環が生じるわけです。

インフラ保守がおろそかになって特に困るのが「水道」で、老朽水道管の交換にかかる費用は「1km」あたり「1億円」とも「1億5000万円」とも言われています。

だからこそ「コンパクトシティ化」が叫ばれているのです。
保守しなければならないインフラがちょっとでもコンパクト化できれば、そのぶん「自治体の負担」は減り、「街の寿命」を延ばすことができますからね。

そして「住民へのメリット」は「生活の利便性アップ」です。
街がコンパクトになれば「自宅から職場・商業エリア・公共施設への移動時間」が短くなり、「移動時間の浮いた分」「家事」「余暇」にまわすことができます。
また、移動距離が短縮されれば「散歩気分で気軽に出かける」ような機会が増え、商業も活性化します。

「移動距離短縮」の恩恵が特に大きいのが「高齢者」で、近くなって最も助かる場所は「医療機関」です。
「病院が遠くて通院が一日仕事になる」とか「バス路線がないので高額なタクシー移動を余儀なくされる」といった声が日本中で聞かれる近年ですが、コンパクトシティ化が進めばそれも大きく改善されるでしょう。

だからもこの流れを奨励し、国土交通省「集約都市(コンパクトシティ)形成支援事業」への補助金も出しています。

遊歩道

とはいえ日本には「居住地選択の自由」というのがありますので、お上「コンパクトシティ化するから郊外部の住民は全て中心部へ移住せよ!」と命じて「はい!」というふうにはできませんし、なりません。
「わしは先祖代々暮らしてきたこの地区に、たとえ自分独りになったとしても住み続けるぞ!」と怒鳴る老人を力ずくで動かすことは不可能なのです。
この傾向は「土着的傾向の強いローカル」(いわゆる「田舎」と呼ばれる地域)ほど強く、「将来ビジョンの明暗」が大きく分かれることになります。

一口に「コンパクトシティ」と言っても人それぞれイメージは異なるでしょうが、私の場合は「駅を中心点に『徒歩30分の距離』を半径とする市街サークル」という感じです。
「駅まで徒歩30分」ならウォーキング好きな人だったら苦もなく歩けますし、自転車ならば「15分程度」で行けるので自動車を使わなくても生活に困りません。

私は車を使いませんし、そもそも「免許すらも持っていない」ので、たいがいの場所には「徒歩オンリー」で行っています。
東京にいた当時から「歩き変態」と呼ばれるほどのサンパー(散歩マニア)だったので、今でもカタギの皆さんがドン引きするくらいの距離をフツーに踏破します。

好きこのんでドン引きされる趣味はないので詳細はボカしますが、現在の地(静岡県沼津市)へ移住後、最高で「JR駅4区間」を歩いたことがありました。
東京の4駅とは「1区間の距離」が全然違いますので(たとえば自宅の最寄り駅だった「大久保駅」から「新宿駅」までは徒歩10分チョイでした)、さすがに「これと同距離を歩け」とは言いませんが、しかし「歩くこと」は健康に良いですし、大病後のリハビリもスムーズにいきますのでオススメですよ(←体験者は語る)。

東京中心部というのは、端的に言うと「無数のコンパクトシティが重なり合っている」みたいな状態で、「中心点となる鉄道駅」「隣駅と徒歩わずか20分程度しか離れていない」ような立地であっても「駅ごとに街のカラーが全然異なる」みたいな状況なんです。

たとえばJR中央線で言えば、「オタクとサブカルの聖地・中野」の隣は「金はないけど自由と時間はタップリある人たちの砦・高円寺」なんですが、その隣の「阿佐ヶ谷」というのは「景観の整った比較的お上品な住宅地」といったイメージ。
阿佐ヶ谷の隣の「荻窪」「ラーメン激戦区」として昭和末期から脚光を浴びはじめましたが、その横の「西荻窪」はシブい「古本、アンティーク、老舗喫茶のメッカ」だったりします。
そんな西荻窪の隣にあるのが、御存知「首都圏の住みたい街ランキング上位常連」「吉祥寺」なんです。
このように、一駅進むたびに「街の個性と表情」が猫の目のように変わり、その面白さ(刺激の強さ)がつまり「東京の魅力」だったりします。

昭和50年代「東京の刺激的な面白さ」に惹かれて上京したものの、バブルを境に年々歳々進んできた「荒廃ぶり」に嫌気がさして移住した私ですが、こうした「今も変わらぬ東京っぽさ」というのは相変わらず好きなんですよ。
だから、「できれば現在の居住地である静岡東部にもあのような魅力を持たせたい」と思っていたりする。
そう、私は拝金主義に陥る前の「のどかで庶民文化が元気だった」だった「昭和の東京」を再現しようと目論んでいるんです。

静岡東部でも「三島」についてはもう駅周辺の環境がかなり素晴らしい仕上がりとなっており(まぁ「JR南口側限定」ではありますが……)、ユニークかつ文化的な事業を進めている素敵な企業も存在しています。

空き地

だから私は、その西側の「沼津市内」の三駅「沼津」「片浜」「原」をいじっていく予定でいます。
それぞれの駅を中心とした「半径3km圏内のコンパクトシティ」を三つ「勝手に」創っていこうと思っているんです。
行政がコンパクトシティ事業に着手することは今後も多分ないでしょうから。

「駅単位のコンパクトシティ」に慣れている東京民をこちら側に呼び込むには、このように環境を変えていくのが不可欠なんです。
といっても、単に「街がコンパクトになっただけ」ではダメで、それぞれのエリア内に東京と比べても遜色ないような「脳と心に刺激を与えてくれるスポット」が点在している必要があります。

「東京よりも刺激的で、東京よりも暮らしやすい」
このようなイメージを外部に発信し、しっかり植えつけられれば、「コロナ移住を考えている東京民」を呼び込むことができるんです。

これまでのような「東京よりも家賃や物価が安いし、働き口だってちゃんとあるよ~」的な呼びかけでは東京民の心を捉えることは、ハッキリ言って「難しい」でしょう。
かつての私のような「東京の刺激的な面白さに惹かれて上京した人間」は、「刺激のない場所」には魅力を感じないのです。
事実、近年「移住のメッカ」とされているローカルでは例外なく「土地の持つ個性を生かした面白いプロジェクト」が進行中で、見ているだけでもワクワクしてきます。

……おっと、長くなりましたんで今回はこのへんで。
次回は「沼津市内に三つのコンパクトシティ勝手に創造計画」のもうちょっと具体的なビジョンを示したいと思います。
乞うご期待!

【つづく】

読者のみなさまからの温かいサポートを随時お待ちしております。いただいた分は今後の取材費として活用し、より充実した誌面作りに役立てていきます。