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夢の話②

てんてんとん、
小さなボールが螺旋をなぞる。それを子犬が追いかけている。頭が二つ、しっぽが三つの小さな小さな、小指ほどの子犬が。
わたしの隣には子供が腰を下ろし、ぶらぶら小さな足を三つ揺らしながら知らない言語で何かを囁いている。大きな一つ目をせわしなく瞬かせながら、時折こちらを見上げて笑うのだ。すると顔全体がぎゅぅとしわくちゃになり、恐ろしいものであるはずがとても愛らしく思えてしまう。まいったなぁ。異形フェチは持ち合わせていないというのに。
ぐるぐる螺旋階段のてっぺんで真っ赤な空を二人で見上げ、そうして時々子犬が指先にじゃれつくのをあやしながら、はて、自分は人間なのかしら、と急激に不安を覚えた。手は、足は、頭は、?

いつのまにか子供は飛んで行ってしまった。子犬は、螺旋階段を転げ落ちていった。赤から白、白から青に顔を変える空の下、わたしはぼんやりと自分を考えている。

はて、人間の定義とはいったいなんだろう


* * * *


処方された薬の副作用で日中ぼんやりしてしまう。日曜日うたた寝していた時に見た夢の話。近所の小学生が元気よく遊んでいた声が聞こえたから子供が出てくる夢を見たのだろうか。
子供の声が喧しくてかなわないと苦言を呈する大人は、さぞ大声など出したことがないおとなしい子供だったのだろうと羨ましくなる。喧しいのは当たり前だ。いいじゃない子供の声。平和の象徴だぜ。ただ許されるのは小学生までだけどな!


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