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【ネット歯科大】むし歯菌と歯周病菌は異なる

 歯科の2大疾患である、むし歯と歯周病。どちらも細菌感染が原因となる病気です。
 
 ではその細菌は共通なのでしょうか。また、予防するために歯みがき以外の方法はあるのでしょうか。
 
 ひとつ目の答えとして、むし歯を作る菌と歯周病を悪化させる菌とは、完全に異なります
 
 菌の種類が違いますので、それに関連する特徴にも違いがあります。
 
 たとえば、むし歯菌は糖を主な栄養とします。したがって、糖を多く含む甘いものを食べてそのままにすると、むし歯が進みやすくなります。その一方、歯周病菌はタンパク質を主な栄養源としています。
 
 続いて、ほとんどの歯周病菌は酸素がキライ、という特徴があります。このため、深い歯周ポケットがあると歯周病菌がより生息しやすくなってしまいます。歯周病治療で歯周ポケットを浅くしていきたいのは、歯周病菌がすみにくい環境を作りたいからです。その一方、むし歯菌は酸素がある環境でも生存します。
 
 ダメージを与える場所も異なっています。
 
 むし歯菌は硬い歯を溶かすことが特徴ですが、歯周病菌は歯の周りの歯ぐきに影響します。進行した歯周病では骨が溶けていきますが、歯周病菌の毒素によって骨が溶かされるというよりも、歯周病菌と戦う中で宿主、すなわちヒトが防御反応の中で骨を溶かしています。
 
 このように、むし歯菌と歯周病菌は特徴を含めて多くの違いがあります。とはいえ、むし歯も歯周病も、基本的な予防法は共通して歯みがきです。
 
 それに加えてむし歯予防にはフッ素の使用が挙げられます。その一方で、フッ素の使用は歯周病予防にはつながりません。
 
 歯ブラシ以外にも、デンタルフロスや歯間ブラシの使用も効果的です。しかし、むし歯予防か歯周病予防かで、注意してみがくべきポイントが少しずつ異なります。どちらかというと、デンタルフロスはむし歯の予防に有効で、歯間ブラシは歯周病が進行してきた方に対しておすすめしがち、という違いがあります。
 
 口の中の菌の組成などによって、むし歯になりやすい人と歯周病になりやすい人がいます。どちらの疾患が要注意かを理解して、効果的な予防を心がけてください。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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