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【ネット歯科大】いちばん長持ちする歯

 大人の歯は永久歯といって、親知らずを含めると全部で32本あります。その中でどの歯がいちばん長持ちか、ご存じでしょうか。
 
 平均した抜去時期が最も遅いとされているのが、犬歯です。上下とも犬歯は長持ちする歯なのですが、特に下の犬歯がいちばんの長寿です。
 
 犬歯は前歯の仲間で、前から3番目に生えている歯です。
 
前から左右2本ずつを切歯(せっし)といい、犬歯を含めて上下左右の12本が前歯となります。それ以外は、すべて奥歯という区分です。
 
 犬歯は形態的に、先端がとがっていることが特徴です。切歯も先端はシャープですが、線状の形態をしていることが犬歯と違うところです。
 
 また、犬歯のもうひとつの特徴として、歯の土台部分である歯根(しこん)が長いということが挙げられます。この長い歯根によってしっかり支えられているため、ものをかみ切るときに大きな力を負担でき、結果的に長持ちすることにつながります。
 
 犬歯はこのように長く機能する歯なので、歯科医師はできるだけ犬歯の抜歯を避けるように配慮しています。せっかく長く使える歯なので、できることなら抜きたくありません。
 
 大きなむし歯によって歯がもたないような場合は仕方がないのですが、たとえば、歯の位置が悪いからといって早期に犬歯を抜くことには苦悩があります。別の方法でなんとか保存できないか、ということを考えます。
 
 一方、歯の位置異常が生じがちなのも、犬歯の特徴です。
 
 特に上の犬歯はわりと遅くに生えてくる歯であるため、きれいに生えるだけのスペースがたりないと、外側を向いて出てきてしまうことがあります。いわゆる、八重歯の状態です。
 
 この場合、犬歯がかみ合わせに参加しないようになってしまいます。本来、犬歯が受け持ってくれるはずだった大きな力への抵抗ができず、その分、ほかの歯に想定外の負担がかかってしまいます。
 
 犬歯の位置がよくない場合、矯正治療によって歯並びを整え、かみ合わせに参加するようにできれば、周囲の歯にとっても効果的な支えとなります。
 
 いちばん長持ちする歯である犬歯を大事にすることで、ほかの歯にとっても負担を緩和でき、結果として多くの歯の維持につながっていきます。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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