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【ネット歯科大】予防と保険診療

 歯科に限ったことではありませんが、病気は予防が大切です。
 
一般的な口腔疾患として、う蝕と歯周病が挙げられますが、これらは予防することができます。フッ素を使用したり、しっかりと歯みがきをしたり、デンタルフロスや歯間ブラシをマメに使用したり、といった方法が自宅でできる予防法です。
 
 定期的に歯科医院に来院して、プロに清掃してもらうことも効果的な予防方法です。このことは、多くの学術論文によって証明されています。
 
 さて、歯科治療には保険診療と自由診療があります。
 
 保険診療は、病気を一般的で基本的な治療方法によって処置するという考え方に基づきます。
 
 では、予防のために歯科医院に通うことは、保険診療でカバーされるのでしょうか。
 
 ここで大切になってくるのは、「病気」があるかないかです。
 
 例として歯周病の場合を考えてみます。歯周病の問題がまったくない人では、病気がないということになります。歯周病の問題とは、歯ぐきからの出血や、歯の動揺、歯周ポケットなどが該当します。
 
 病気がない状態で歯周病の予防のために歯科医院を来院するのは、保険診療とはなりません。
 
 一方、歯周病があり、その治療のために歯科医院へ通院していたケースでは、歯周病がほとんどよくなったけれども局所的に注意すべき部分が残るということがあります。
 
 この状態を病状安定などと呼びますが、状態の維持や安定のために定期的に歯科医院を受診する場合、保険診療でカバーされることとなります。これは近年導入されたものであり、以前はありませんでした。
 
 このように、保険診療となるか自由診療となるかはいろいろと決められており、診断結果によって変わってくるところもあります。
 
 歯科医院での定期受診をしたいけれども保険診療とならないとなると、少し残念な気がするかもしれません。
 
 しかし、発想の転換も大切です。
 
 ひとつの考え方として、歯科医院への定期的な受診を希望していながらも保険がきかないとなった場合は、それだけいい状態であるとポジティブにとらえてもらうことができます。
 
 いずれにしても、歯科医院への定期受診による疾患予防は、科学的に認められた、好ましい習慣です。
 
 歯科医院を効果的に利用して、う蝕や歯周病で歯を失うことをできるだけ遠ざけるように心がけてください。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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