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【ネット歯科大】知覚過敏とは

 ふとしたときに歯がしみる、ということはないでしょうか。もしかするとそれは知覚過敏かもしれません。
 
 今回は、知覚過敏とはなにかについて見ていきましょう。
 
 知覚過敏、正確にいうと象牙質知覚過敏とは、「口腔内に露出した有髄歯の象牙質に機械的、温度的、化学的な刺激が加わることで一過性に疼痛が生じる状態」(特定非営利活動法人日本歯周病学会編「歯周病学用語集第3版」医歯薬出版株式会社より)とされています。
 
 まず、歯の構造として、エナメル質という人体でもっとも硬い組織が歯の外層を形成しています。そのエナメル質の内部に象牙質(ぞうげしつ)という部分があり、ここも硬い構造です。象牙質は、歯の中心部にあり歯髄と呼ばれるいわゆる歯の神経と、細い管によってつながっています。
 
 したがって、なんらかの理由によりエナメル質がすり減って象牙質が露出すると、歯の神経まで刺激が伝わりやすい状態となります。なお、上に出てきた「有髄歯(ゆうずいし)」とは、歯髄が残っている歯のことを指します。歯髄を除去する治療、いわゆる歯の神経を抜く治療をした歯は無髄歯といって、歯の感覚はなくなります。
 
 歯にかかる刺激はさまざまですが、熱いものや冷たいもの、あるいは歯ブラシを当てたことによってしみるということがよくあります。
 
 同じようにしみることがある疾患としては、う蝕、すなわちむし歯が考えられます。つまり知覚過敏とは、むし歯ではないけれどもしみる状態を指します。
 
 知覚過敏かどうかの判断としては、むし歯がないことを確認しなくてはいけませんので、専門的なチェックが不可欠といえます。
 
 さて、知覚過敏の対策として、いくつかの方法があります。
 
 もっとも簡単なものとしては、知覚過敏を緩和することを目的とした歯磨剤を使用することでしょう。いろいろな会社から知覚過敏ケアのための歯磨剤が販売されています。
 
 また、歯科医院で治療することももちろん可能です。専用の薬液を用いるなどの方法を用いて、刺激を受けにくくなるようにします。重度の知覚過敏の場合は薬液だけで改善しないこともあり、そのようなときには詰め物を入れるなどして対応します。
 
 知覚過敏は身近な口のトラブルです。症状が出たらそのままにせずに、お早めに歯科医院を受診してもらうことが最適です。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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