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【ネット歯科大】歯の状態は食べものの選択に影響するか

 かたいものを食べるには、丈夫な歯が必要です。
 
 では、歯の状態は食べものの選択に影響しているのでしょうか。
 
 これまでの研究によると、歯の数と摂取した栄養素に関連があるという報告が認められる一方で、その影響は軽微であるという結果報告も見当たります。
 
 特に歯の数だけでなく、奥歯での歯と歯のかみ合わせがあることが大切です。
 
 歯が残っていても、上下でしっかりかみ合う歯同士がない状態のことを「すれ違い咬合(こうごう)」と呼びます。
 
 すれ違い咬合の状態では、歯がない部分を取り外しのできる入れ歯などで補います。歯とかみ合うのは入れ歯の人工的な歯、ということになりますが、入れ歯では自分の歯ほど強い力に耐えられるわけではありません。
 
 このため、単に歯が残っているというだけでなく、上下でかみ合っている歯のペアがあることが、かみ合わせの機能という点では重要です。
 
 なお、すれ違い咬合のケースで入れ歯を作るのは難易度が高いとされています。
 
 歯が多ければ摂取カロリーも多いかという点については、いろいろな解釈があります。
 
 歯が少なくなると、やわらかいものを摂りがちになります。栄養素については、歯の少ない人では炭水化物や脂質を多く摂取する傾向となります。
 
 これらはエネルギーとしてはわりと高いため、歯が少ないことでただちに摂取カロリーが減少するということはないようです。そのかわり、栄養のかたよりが生じやすくなるといえます。
 
 歯科治療によって歯を整えることで食べものの選択に影響するかについては、まだあまりよく知られていないところです。歯科治療よりも栄養指導によって食事摂取の傾向が変わるというデータもあります。
 
 バランスのよい食事とは、いろいろなものを摂るということがひとつの方法となります。しかしながら、歯の状態が悪くなることによって、無意識にかもしれませんが、摂る食べものにかたよりが生じるようです。
 
 食べたいと思ったものを食べられるためにも、歯を大切に、特に歯と歯のペアを多く残しておくように心がけることが重要です。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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