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【ネット歯科大】歯周病による骨の減り方2パターン

 歯周病は、歯を支えている骨が減ってしまう病気です。その骨の減り方には、2つのパターンがあります。
 
 その2パターンとは、「垂直性」と「水平性」の骨の減少です。
 
 歯がきれいに生えそろっていて歯周病もない場合、歯が植わっている骨は平らな状態です。
 
 この状態から歯周病が進んだと仮定しましょう。
 
 骨が平らな状態を維持したまま、全体的に同じように骨が減っていくと、水平性の骨の減り方となります。
 
 水平性に骨が吸収しているパターンでは、歯ぐきの腫れはあるものの、歯周病治療により腫れを整えれば歯周ポケットはなくなります。
 
 もうひとつのパターンである垂直性に骨が減少した状態とは、部位によって骨の吸収量に違いがあるケースを表しています。
 
 なぜそうなるのでしょうか。
 
 いつも汚れが残ってしまうような部位や、かむ力が強くかかり負担になっている部位などでは、歯周病による骨の吸収がより進行してしまいます。
 
 その結果、骨が大きく吸収したところとそうでもないところが混在することになります。そうなると、全体に骨が平らな状態を維持できなくなってしまうのです。
 
 なにかの基準に対して完全に垂直ということではありませんが、平らな状態を水平性の骨の減り方と呼ぶのに対し、部位ごとの差が顕著な場合を垂直性の骨の吸収と呼んでいます。
 
 垂直性の骨の吸収がある場合、歯周病治療によって腫れを整えたとしても、骨のがたつきは残ってしまいます。つまり、歯周ポケットの残りやすい状態が継続します。歯周病の細菌は酸素がきらいで歯周ポケット内にすみつきやすいので、歯周病の再発が心配です。
 
 そこで登場するのが、歯周病の手術です。
 
 歯周病の手術によって、歯を支える骨を平らに整えたり、あるいは材料を用いて骨の再生をうながし、平らな形態に近づけたりすることができます。
 
 歯周病の手術にはさまざまな目的があります。
 
 たとえば、術者が視認できる状態でしっかり歯石を取ることもひとつの目的です。そのような目的のひとつとして、歯を支えている骨を平らな状態に戻して、歯周ポケットの形成を防ぐことが挙げられます。
 
 歯周病を治療するうえでやっかいなのは、垂直性の骨の吸収です。
 
 歯周病と診断され、エックス線検査にて骨がガタガタしている場合は垂直性の骨の吸収があるということになります。そのようなケースでは特にしっかりと治療を受けて、再発や悪化を防ぐようにすることが大切です。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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