見出し画像

【ネット歯科大】歯ぎしりによって生じる症状

 歯ぎしりは、さまざまな症状を引き起こします。今回は歯ぎしりによって生じる可能性のある症状について見ていきます。
 
 歯ぎしりやくいしばりを総称して、「ブラキシズム」といいます。起きている時に無意識に行うものと、寝ている時に行うブラキシズムとがあります。精神的なストレスや肉体的な疲労がブラキシズムの原因になるといわれています。
 
 歯ぎしりによる症状として、頭痛や肩こり、顎関節の痛みなどを誘発することがあります。
 
 これは、必要以上に力が入ることで、筋肉や関節に大きな負担がかかることによります。頭や肩など、歯からは少し離れているところに影響する可能性があるのです。筋肉は少し離れた組織とつながっていることを考えると、理解していただきやすいでしょう。
 
 歯ぎしりによる口の中の症状としては、歯の痛みや歯周病の悪化、さらには歯が割れてしまうことなどがあります。
 
 歯ぎしりによって歯が痛む際の特徴として、複数の歯で同じような症状があることや、かんだ時に痛みが出ることが挙げられます。これは、歯に負担がかかりすぎているため、歯のクッションを担う部分にダメージが出ていることから生じる症状です。
 
 歯周病の悪化も理解しやすいことでしょう。歯周病は歯を支えている組織が弱ってくる病気ですので、歯ぎしりによる過負荷がさらに悪化を導くことはわかりやすいところです。
 
 口の中の粘膜にも、歯ぎしりによる特徴が出ることがあります。
 
 歯ぎしりをしている患者さんでは、舌やほほの粘膜に歯の形のあとがつくことがあります。これは舌やほほの粘膜が歯に強く押し付けられている証拠です。それだけ強い力がかかってしまっていることがわかります。
 
 また、歯ぎしりやくいしばりが長期に及ぶと、顎の骨が盛り上がってくる場合があります。これを骨隆起(こつりゅうき)といいます。
 
 かむ力が強くかかっていることへの反応として、骨の部分が増えるのです。下顎の内側の粘膜に左右対称に骨が盛り上がっている場合、骨隆起が考えられます。
 
 歯ぎしりは、その時の状態によって悪化したり改善したりすることがあります。
 
 昼間の歯ぎしりに対しては、意識してやめるようにしたり、自分自身で気づけるような工夫をしたりして改善を目指します。一方、夜間の歯ぎしりには、ナイトガードと呼ばれるマウスピースを作製することが一般的です。
 
 歯ぎしりは、自分ではなかなか気づくことができないものです。上記のどれかにあてはまる方は、歯科医院の受診をおすすめします。
 
神奈川歯科大学 青山典生

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?