【ネット歯科大】隣の歯と歯の接触
「歯並び」という言葉もあるように、歯は並んでいるものです。
きれいに歯が並んだ状態では、歯は両隣の歯とわずかに接触しています。
接触している点を「接触点」あるいは「コンタクト」と呼びます。
普段、意識することはまったくありませんが、隣の歯との適切な接触は歯にとってとても大切です。
たとえば、歯と歯の間が開きすぎてしまうと、食べものがはさまりやすくなってしまいます。そうすると汚れがたまりむし歯になりやすくなるだけでなく、歯ぐきにダメージを与えてしまうといった悪影響が生じます。
また、歯と歯の接触がないと、しだいに歯の位置が変わってきてしまう場合があります。歯にはかむ力がたえずかかりますので、かみ合わせの状態や歯の傾きによっては歯の移動が生じてしまうのです。
隣の歯との適切な接触があると、かんだときに歯にかかる力をまわりに分散するという機能が働きます。歯が接触していることで、歯同士が支えあっているといえます。
一方、歯の接触点には、むし歯ができやすいという特徴もあります。
狭い位置であるため細菌がたまりやすく、清掃が行き届かないとむし歯が進行するという流れです。
接触点周囲の清掃に効果的なのは、デンタルフロスです。歯ブラシだけでは狭いところまでなかなか届きにくいため、フロスなどの併用が有効です。
デンタルフロスを使用する際に意識したいポイントとして、接触している2本の歯それぞれに沿わせるようにするということが挙げられます。
片方の歯の面を意識した動かし方と、もう片方の歯を意識した動かし方、それぞれの動きを取り入れてもらうと効果があります。
さて、歯並びの状態によっては適切な接触点が得られないこともあるでしょう。また、歯を失った場合には、歯が孤立してしまうようなこともあります。
そのような場合でも、基本的にはむし歯と歯周病の両方の予防を考えることが効果的です。
いずれも細菌が原因となることから、歯の全周を清掃できているか気にしながら清掃することが大切です。
また、歯にかかる力の負担が大きくなりすぎることも心配になります。力の負荷についてはご自身では判断できませんので、定期的に歯科医院で確認してもらう必要があります。
隣の歯と歯の接触によって、歯や口はうまく守られているといえます。
神奈川歯科大学 青山典生
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