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女子と語学力(16) 〜どのように 振る舞えば良いか 分からない!集団行動 難しすぎる〜

毎日更新ができなくなってしまったが、ここ数日、思いのほか、アクセスが増えて驚いている。この文章はフィクションであり、実在の人物とは一切関係ないが、知り合いが読む可能性が高いと思うとどこかで書く内容を制限してしまい、やはり、「母はしんどい」を上梓した田房永子さんの凄さを思い知る。

さて、コヤマ先生(仮名)の授業のグループワークの初回を休み、そもそもグループワーク、というやり方が苦手で苦手で仕方がなく、また難しい英語の論文を読む意欲も能力もなかった自分であったが、初回の授業でぽいぽいぽぴー(©️あやまんJAPAN)と資料を投げつけられながら「そんなんじゃダメ!」と怒鳴られ、明らかにミソッカス状態になってしまい、透明な存在として、その授業に出ていた。

大学の授業の記憶からは少しずれるが、中学校、高校とも、部活動もやらず、アルバイトの経験もなく、ただただひたすら暗記中心の勉強をしていた自分は、集団行動がとにかく苦手であった。考えてみれば幼稚園の頃から苦手であったのだから、中学校、高校だけの経験だけのせいでもないが、ハードな部活動を中学時代、高校時代などに真剣にやっていた人は、組織での立ち振る舞いが上手だと思うことは多い。


そもそも「自己分析」なる胡散臭い就職活動用語をしてみんとす、と(何も役に立たない古文の知識をまた披露)、自分が好きなことを真剣に考えた結果、私は「帰宅」「睡眠」「映画鑑賞」「休みの日」が好きだということに気づいたのである。睡眠に関していうと「好き」というか体質的に眠くなりやすいので寝ないと生きていけない。また、帰宅がとても好きである。帰宅するためには、どこかに出かけないといけないのだ。それは中学生時代、多感な時期に、スクールカースト最底辺の卓球部をすぐやめ、帰宅部のエース(自称)として大活躍したことが非常に大きな影響を及ぼしている。


地元の公立の中学校は、ヤンキーがとにかく多かった。男子生徒たちの性的な会話や振る舞いはさらに常軌を逸したレベルになってきていて、授業と授業の間の休み時間に教卓の上で擬似的に性交の動きをしているやんちゃな男子などもいて、周囲の会話の9割くらいは性的な話だったような気さえする。

小学生の頃、一緒にドラゴンボールを読んで盛り上がっていた友人は、中学生になって、隣の席の男子生徒から授業中に局部を触られることに日々深刻に悩んでいた。帰宅時にその話題になった時、私は本当に困ってしまって「ううむ」と言った。


幼い頃からの友人の局部を授業中に触ってくる、極悪なアンパンマンのような男子生徒の顔を思い浮かべた。どうすればいいのか、分からなかった。相談できる先生も大人もいなかった。彼女の担任の、目の下の、クマが色濃い女性の国語の先生を思い浮かべた。相談は誰にもできないと思った。


中学校のクラス編成は、権力を持っている特定の先生が、お気に入りばかりをクラスにまとめている、という噂があった。真偽の程はわからないが、ある、若い女性の英語の先生が担任したクラスは、ヤンキーだらけだった。全学年から困った生徒たちをすべて集めているかのようだった。そのクラスの担任だった英語の先生は、短期間のうちに、ストレスで髪の毛が真っ白になってしまったことも記憶している。そのクラスに、教育実習で配属された若い大学生の女性の先生が、性的な暴行をヤンキーたちから集団で受けてしまい、教育実習の途中から現れなくなってしまった。その先生は途中でいなくなったので「短い期間でしたがありがとうございました」というような、お便りはもらえなかった。


教師たちは中学生たちを非行に走らせないために、疲れさせて悪いことをさせないために、厳しい部活動を熱心にやらせていた。「部活を途中で辞めたやつは終わっている」「文化部はイケてない」という空気が濃厚で、サッカー部、野球部、陸上部、女子バレー部、女子バスケ部、などの人々が幅をきかせていた。吹奏楽部だけは文化部の中では例外的に立場が強かった。先輩が通り過ぎるまで、姿が見えなくなるまで、下級生が上級生の前で頭を下げ続ける、というようなルールがあった。あとはよく部活動においては「気に入らない後輩」がシメられていた。楽器の演奏ともスポーツの技術とも異なる、独特の軸がそこにはあって、土日返上で部活動の練習に打ち込む人々の気が知れないというか、狂気の沙汰だと思っていた。


私はスクールカーストの枠外にある「帰宅部」活動に熱心に打ち込んだ。卒業写真の集合写真撮影日にうっかり休んでしまった人が、丸く囲われて後ろに写されているかのような「帰宅部」であった。部活動紹介には出てこない。帰宅部は通称であり、正式名称ではない。あると言えばあるし、ないと言えばないのだった。あると言ったら反発され、侵攻されることもない。そもそも非公認だし、存在を示す必要すらない存在、それが帰宅部であった。


帰宅部活動は、私に自由をくれた。ハードな練習を行う人々を横目に、即教室を出て、徒歩で友人と喋りながら、公立の中学生男子をターゲットにした堂々たるエロ本の自販機の脇を通りすぎ、団地の近くのバス停近くでさらに友人たちと喋る、という文化的な活動が中心であった。


授業後にすぐに帰ると、再放送のゲゲゲの鬼太郎、ルパン三世、スクールウォーズなども見られるし、漫画もたくさん読めた。土日返上で週末に練習など一切したくなかったし、朝早く行くなんて、嫌で嫌でしょうがなかった。厳しい部活動をドロップアウトした我々は、なんとも言えない挫折感を味わってはいたものの、あんなに先生たちや同級生に「辞めたらダメだ」と言われていた部活動は、辞めたあとは天国でしかなかった!帰宅部員総勢3名(バレー部でシメられてやめた友人と、思いの外練習が辛くて卓球部を途中で辞めた友人と私)の3人の間には、カーストがなく、とにかく話しやすかった。そんな経験から、自分は何が好きなのかを真剣に考えた結果、帰宅部のような仕事を選んだつもりだったのだが、帰宅部的な組織と思ったら意外とそうでもなく、集団行動は今も昔も本当に苦手である。特に「分担」をしないといけないものがとにかく苦手である。

そういえば、大学の授業の思い出なのだったが、とにかくグループで何かをするのが自分は絶望的に苦手で、常にグループの中で浮いてしまう傾向があった。授業においては、やる気もなく、英語の論文など読めなかったのでますます居場所がなくなっていった。

残念な組織で働く社会人になってから、度々同様の経験をしたのだが、一度出来上がっているグループの中に入っていくというのは至難の技である。特に女性同士のグループは、少しでも「異なる存在」「貢献していない」とグループの長(おさ)がみなした存在を「異質なもの」として排除するパワーが、いつも何度でも、ものすごい。大学全体では、集団行動があまり好きではなさそうな男性、女性が多くてとても居心地が良かったのだが、ボンドガール(大木凡人に似た日本の最難関語学関連国立大学から編入してきた社会人経験を持つ女性)が率いるグループにおいては、私は早々から「困った人」「使えない人」「できない人」「貢献していない人」というポジションに位置づけられ、立場がなくなってしまった。

一度そういう扱いになると、情報が入ってこなくなり、そもそも何をどうすれば良いか分からなくなる。非協力的、使えない、と最初から決めつけられてしまうのでますます何もできなくなり、やる気もなくなる。ボンドガール(大木凡人に似た女性のこと)に、そう思われてしまっているのは重々理解していたが、どうすることもできなくなってしまった。

〜女子と語学力(17) へ続く…。

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